高齢化について2019年03月06日

人は高齢になると何故急速に老化するのか? 原因は色々あるだろうが、高齢化により外界との接触頻度が低下するためこれに関与する機能を活性化する必要が無くなることがさらに老化を促進するという悪循環が一因かもしれない。
人間の先祖は昔、海から陸に上がったことにより、外界からの各種の汚染物質、例えば花粉や埃、異物等に対抗できる性質を身につける必要が生じた。このために、外部刺激に対する免疫機能が強化された。しかし、高齢化することにより、外界に出る頻度が低下すると、外部刺激量が低下するため、免疫機能もそれほど必要としなくなり、低下していくという。
それなら高齢者はもう世の中から必要とされない存在ということを意味しているのだろうか?
ある研究で面白い結果が得られている。高齢者は外部に対する免疫機能が低下していくが、逆に内部の自己免疫機能は活発に維持されるというのである。高齢化により、外部よりも内部の自己の体の中に癌細胞などの異物が生じやすくなるために、これらに打ち勝つための自己免疫機能は強化されていくそうである。このことは、高齢化し老化する結果世の中から必要とされなくなるのではなく、生き続けることが求められていることの証かもしれない。

自己免疫機能を高めることにより、生存確率を上げようとする意味は何か?それは、長い人生での努力を通じて得られた知識や経験・知恵を後世に生かし、伝えるためと思いたい。老人に課せられた義務は、自分がこれまでに獲得した知恵を惜しみなく若い人たちに残し、伝えることなのだろう。