モールスによる長距離通信2019年05月24日

今日はモールスと助手のベイルが発明した電信装置と符号により、初めて長距離通信実験をした日。1844年5月24日ワシントンDCとメリーランド州のボルチモア間で通信実験が行われた。モールスと助手のベイルは電流のオンオフによる信号を送出するための手作りの電鍵と、その電気信号に応じて電磁的に吸引力を発生して印字させる受信機を使ったようだ。通信回線は2本の導線であり、電鍵によって導線に流れる電流を断続して、その電流変化で遠方にある電磁石を動作させる。電磁石には可動鉄片が信号に応じて動き、それに針が取り付けられて紙テープに針先からの押し付け跡を記録させる仕組みになっていたと思われる。紙テープは重力錘によって一定速度で紙送りされることにより、時系列で信号が記録できる。通信距離を延ばすために線路の途中に継電器(リレー)を入れて中継したようだ。信号は長点と短点の組み合わせでアルファベットに対応させる今日のモールス符号の原型だった。長点と短点を組み合わせただけのモールス信号による通信は現在ではアマチュアの無線電信通信くらいにしか使われなくなった。しかしこの無線電信方式は使用する帯域幅が狭くて済む。シャノン・ハートレーの情報定理によれば信号対雑音比S/Nは帯域幅に逆比例する。例えば帯域幅を半分にすればS/Nは3dB改善される。音声通信の必要帯域幅に比べて電信通信ではその十分の一程度の帯域幅で済む。その場合S/Nは10dB程度改善されることになり、電話に比べて電信が遥かに微弱な電力で交信可能ということがわかる。事実電信なら2Wくらいの小出力でも全世界と交信することはそれほど難しくない。電信は0と1の2進数組み合わせによるデジタル通信の原型であり、今日のデジタル通信に繋がっているとも言える。

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