量子間の情報伝播2019年05月21日

まず例え話として一つの粒子を2つに分けたとする。すると分けられた夫々の粒子の状態、例えばスピン(回転)の方向は夫々反対の向きになる。これは角運動量保存の法則で説明できる。しかし粒子の夫々のスピンの方向は測定しない限りわからない量子状態にある。一方の粒子を遠く離れた場所まで引き離し、他方の粒子の状態を観測するともう一方の粒子の状態が決まる。つまり測定した粒子のスピンが上向きなら遠く離れた粒子は下向きのスピンを持つ。これはあたかも一方の粒子の状態を測定した途端に他方の粒子にその情報が伝わるかのようであることから量子テレポーテーションと呼ばれる。この時、2つに分かれた粒子の距離がどれほど遠くても成立するので光の速度を超えてスピン状態が伝わるかのようである。この問題は不思議で自分の理解力では歯が立たないのだけれど、自分なりの推論を述べてみたい。まず古典的に説明しようとすれば、最初に2つに分けたときにスピン方向が決まるため、お互いは必ず逆であり、片方のスピン状態が分かれば他方は必ずその逆であるから別に何の不思議もなく、最初から決まっていることであるという決定論的帰結になる。しかし、これだと夫々の粒子の状態が最初から決定していることが必要だが不確定性原理によってそれは否定される。つまり、粒子は確率的にどちらの状態も取ることができ、測定されるまでその粒子のスピン方向は定まらない筈である。そこで、一方の粒子を測定した時、まだ他方にはその情報は伝わっていないと考える。他方の粒子は2つの状態が重ね合わさった状態にあり、一方の粒子のスピン方向の情報が他方の粒子に伝えられるとその情報に基づいて他方の粒子のスピン方向が角運動量保存の法則により選ばれて決まると考えれば矛盾は生じない。一方の粒子と他方の粒子のスピン状態の情報は両方が分かれた時にお互いが持っているが、量子の重ね合わせ状態にあるためそれだけでは確定せず、一方の観測結果の情報によって他方の粒子の状態が確定すると考える。結局、瞬間移動などというものは起こっておらず、一方の粒子の測定によって得られた情報が他方の粒子の状態を決める情報を完結させると言ったらよいだろうか。一方の粒子の状態が測定されるまで他方の粒子の状態は決まらず、2つの状態が重なっている。そして測定した情報の伝播によって2つ重なった状態のうちのどちらかが選択される。以上の考え方であれば不確定性原理に従っており、また情報は光速を超える必要もない。

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