SSB送信機のSSBトランシーバ化(その1) ― 2019年03月11日
半世紀位前の学生時代に作ったSSBトランシーバの回路構想図が写真のもの。(子供の頃からいつも色々な機器の回路図などを書いて構想するのが楽しみで、授業中も授業は聞いたことがなく回路図を書いていた位好きだった) これを作った当時はSSB技術に入れ込み、ST700というSSB送信機をベースにしてなんとかSSBトランシーバ(送受信機)にできないかと毎日考えていた。SSB送信機の構成を逆にすると受信機の構成に似ている。だから送信機の各ステージにそれぞれ逆の動作をする回路を逆方向並列に組み合わせれば各段の同調回路やフィルタをすべて共通化させた送受信機が実現するだろうということから始まった。実際は色々思うようにはいかず失敗を繰り返し、苦労を重ねて作り上げた。恐らく自分がこれまで手掛けた物の中で最高の傑作だったのではないかと自負(自画自賛)している。写真の回路図は広告チラシの裏に手書きした第一次構想回路図であり、残念ながら詳細を記録した全回路図は見つからなかった。今でも回路は思い起こせるので気が向いたらまた書き上げてみたい。実物は物置きにまだ保管されているがもう腐食しているだろう。
SSB送信機のSSBトランシーバ化(その2) ― 2019年03月12日

現物は物置で写真のような状態だった。いくつかのツマミは他の機器に使用中のため外されている。中はそのままだが湿気で接点類が酸化して復活は難しいだろう。全体的に部品類は劣化しているだろうが、特に厄介なのがメカニカルフィルタの劣化。中の振動子を支えているウレタンが経時劣化して振動子の機械振動を阻害してしまう。これまでに国際電気のK型という丸いタイプの函を切って中のウレタンを全部取って復活させたことがある。これは国際電気のZ型という細長い小さなもので同様にして復活できるはず。このトランシーバ化により、受信周波数=送信周波数が実現できて、VFOの周波数キャリブレーション不要な快適さを初めて味わえた。今では当たり前のことではあるが少なくとも当時の自分にとっては画期的だった。これで沢山の海外との交信が楽しめた思い出がある。
小出力プリメインアンプ ― 2019年03月13日

物置でついでに見つけたのがこのアンプ。ひどく汚れていたが懐かしかった。
これは元々カセットデッキを初めて買った時に合わせて自作した簡素なアンプ。6BQ5三結シングルのステレオアンプで出力はせいぜい2W+2Wくらいだろうか?あり合わせの部品を集めて作った。例えば出力トランスは左右不揃いだが、これはジャンク屋で一個100円で買った代物。当時このアンプでカセットテープをよく聞いていたが、そのうちレコードプレーヤをやっと買えたので、シャーシの横にアルミ板を曲げただけのサブシャーシをうまく継ぎ足し、RIAAイコライザとトーンコントロール回路を組んで付け足した。RIAA特性は怪しかったがこれで一応プリメインアンプになった。6.5インチのフルレンジスピーカーとの組み合わせで鳴らしたが、金をほとんどかけず音楽を聴いていた良い時代だった。
これは元々カセットデッキを初めて買った時に合わせて自作した簡素なアンプ。6BQ5三結シングルのステレオアンプで出力はせいぜい2W+2Wくらいだろうか?あり合わせの部品を集めて作った。例えば出力トランスは左右不揃いだが、これはジャンク屋で一個100円で買った代物。当時このアンプでカセットテープをよく聞いていたが、そのうちレコードプレーヤをやっと買えたので、シャーシの横にアルミ板を曲げただけのサブシャーシをうまく継ぎ足し、RIAAイコライザとトーンコントロール回路を組んで付け足した。RIAA特性は怪しかったがこれで一応プリメインアンプになった。6.5インチのフルレンジスピーカーとの組み合わせで鳴らしたが、金をほとんどかけず音楽を聴いていた良い時代だった。
オペレーショナリズム ― 2019年03月14日
前にプラグマティズムについて少し書いたが、オペレーショナリズムはプラグマティズムの科学技術領域への発展形と言えるだろう。超高圧静的圧縮機や高圧シール技術を発明したアメリカのブリッジマンが主張した実践・実証を重視する考え方で操作主義と訳される。科学的概念の意味は一群の操作(オペレーション)によって与えられると主張する。経験的・具体的な操作・手法によって規定されることのできない概念は無意味であると説く。彼の操作主義は“測定できないものは科学ではない” が基本となっている。彼は、制御可能な操作(経験的具体的手法で規定できる概念)と科学とを強く結び付け、これが特殊相対性理論における同時性や長さの概念の解釈にも用いられたという。
面白いのは、彼は量子力学に批判的な立場であったにも拘らず彼の操作主義が量子力学の理解を助けたといわれている。しかし不確定性原理の出現により操作そのものに不確定性が生ずることが明らかになって、彼の考え方も修正が求められた。彼の考え方はアメリカの科学思想の礎となり、理論物理学入門(岩波書店)やスレーター行列式で有名なスレーター、原子爆弾を開発したオッペンハイマーもブリッジマンの操作主義を受け継いでいる。この点において優れた科学思想がその一方で原子爆弾を生み出したと言えなくもないだろうか?
面白いのは、彼は量子力学に批判的な立場であったにも拘らず彼の操作主義が量子力学の理解を助けたといわれている。しかし不確定性原理の出現により操作そのものに不確定性が生ずることが明らかになって、彼の考え方も修正が求められた。彼の考え方はアメリカの科学思想の礎となり、理論物理学入門(岩波書店)やスレーター行列式で有名なスレーター、原子爆弾を開発したオッペンハイマーもブリッジマンの操作主義を受け継いでいる。この点において優れた科学思想がその一方で原子爆弾を生み出したと言えなくもないだろうか?
IQとは? ― 2019年03月15日
先日テレビで知能指数(IQ)188と評価された青年が出ている番組を見た。一体IQとは何だろうと思ってしまう。精神年齢を実年齢で割って100倍したものだけれど精神年齢自体そもそも胡散臭い。人間の精神年齢など経験上20歳を過ぎればほぼ一定に飽和すると考えられる。子供の頃に受けた知能テストの値が高かったとしても20歳になれば並の人になると考えてよいのではないだろうか?
IQ188はアインシュタインやダビンチに並ぶなどと持ち上げていたが、そもそもアインシュタインやダビンチが知能テストを受けたわけではないだろう。彼らの業績から逆にIQを推定したに過ぎない。つまり過去の業績のずば抜けた歴史上の偉人は高IQに違いないと決めつけている。このような手口でIQに権威があると見せかけるだけのトリックに過ぎないと考えるのはうがち過ぎだろうか? 想像するにアインシュタインが本当に現代の知能テストを受けていたら結果はずっと低く出ていた可能性もある。知能テストは合理的な考え方や知的判断力、図形認識力の高さを見るような問題だったと思う。IQの高い人は確かにそのような分野では高い潜在能力を持つので有能ではあるのだろうけれど、それは人間の一部の能力を単に測った結果に過ぎない。どのような人間でも必ず得意な能力を持った側面がある。それがたまたま測定テストと合致していたかどうかで結果が分かれるだけではないだろうか?
子供の頃IQが高かったことを並の大人になってもまだ引き摺っているのは悲劇である。そのような人は幻想の世界から早く抜け出してほしいと願う。
IQ188はアインシュタインやダビンチに並ぶなどと持ち上げていたが、そもそもアインシュタインやダビンチが知能テストを受けたわけではないだろう。彼らの業績から逆にIQを推定したに過ぎない。つまり過去の業績のずば抜けた歴史上の偉人は高IQに違いないと決めつけている。このような手口でIQに権威があると見せかけるだけのトリックに過ぎないと考えるのはうがち過ぎだろうか? 想像するにアインシュタインが本当に現代の知能テストを受けていたら結果はずっと低く出ていた可能性もある。知能テストは合理的な考え方や知的判断力、図形認識力の高さを見るような問題だったと思う。IQの高い人は確かにそのような分野では高い潜在能力を持つので有能ではあるのだろうけれど、それは人間の一部の能力を単に測った結果に過ぎない。どのような人間でも必ず得意な能力を持った側面がある。それがたまたま測定テストと合致していたかどうかで結果が分かれるだけではないだろうか?
子供の頃IQが高かったことを並の大人になってもまだ引き摺っているのは悲劇である。そのような人は幻想の世界から早く抜け出してほしいと願う。
読書 方法序説(河出書房) ― 2019年03月16日
理性は正しく判断し真偽を弁別する能力であり、すべての人が平等に持っている。我々の意見が多様なのは理性の違いではなく、我々の思想を種々の異なった経路で導いているだけのこと。つまり我々は同一の事物を考察しているのではないということから起こっている。
・・・・・・(方法序説第一部始まり部分)
デカルトは論理の方法として次の4つの準則を考えた。(第二部)
第1は自分が疑いなく明瞭な真理であると認めるものしか真実として受け入れないこと。第2は自分が検討しようとする問題を解決するためできるだけ多数の小部分に分割すること。第3は最も単純で最も認識しやすいものから段階を追って秩序だって導くこと。第4は全般を再検討し、何も落ちがないと確信できるほど完全な列挙を確認すること。
そして第四部では疑う余地のないものとして「私は考える、だから私は存在する」から出発することとした。
デカルト以降、科学技術はこの精緻で根源的な方法により成功し発展してきた。しかし、この方法を持ってしても解明できることは分割要素の数が限定された範囲内に過ぎず限界がある。分割要素の数の多い複雑系では要素間の相互作用が無視できなくなり、成り立たなくなる。例えば、地球温暖化問題などのような要因が複雑に絡み合うものでは予測と結果との間に大きな誤差が生じたり、確からしさの低い結果しか得られない。デカルト手法の誤りやすい原因としては、実際よりもずっと少ない分割でしか調べられていないのに、全体を見通そうとする試みにある。従って、要素間相互作用についても見落とすことになる。現代では、このような問題があるにもかかわらず、相変わらず専門化が進んでいる。このような専門外に対しての無知が、不正な研究者の輩出に間接的に繋がるという批判もある。
・・・・・・(方法序説第一部始まり部分)
デカルトは論理の方法として次の4つの準則を考えた。(第二部)
第1は自分が疑いなく明瞭な真理であると認めるものしか真実として受け入れないこと。第2は自分が検討しようとする問題を解決するためできるだけ多数の小部分に分割すること。第3は最も単純で最も認識しやすいものから段階を追って秩序だって導くこと。第4は全般を再検討し、何も落ちがないと確信できるほど完全な列挙を確認すること。
そして第四部では疑う余地のないものとして「私は考える、だから私は存在する」から出発することとした。
デカルト以降、科学技術はこの精緻で根源的な方法により成功し発展してきた。しかし、この方法を持ってしても解明できることは分割要素の数が限定された範囲内に過ぎず限界がある。分割要素の数の多い複雑系では要素間の相互作用が無視できなくなり、成り立たなくなる。例えば、地球温暖化問題などのような要因が複雑に絡み合うものでは予測と結果との間に大きな誤差が生じたり、確からしさの低い結果しか得られない。デカルト手法の誤りやすい原因としては、実際よりもずっと少ない分割でしか調べられていないのに、全体を見通そうとする試みにある。従って、要素間相互作用についても見落とすことになる。現代では、このような問題があるにもかかわらず、相変わらず専門化が進んでいる。このような専門外に対しての無知が、不正な研究者の輩出に間接的に繋がるという批判もある。
807電信送信機 ― 2019年03月17日

小型送信管807シングルの2ステージ自作送信機。出力10Wの電信用だが変調器をつければAM電話送信機になる。807にはお決まりのようにシールドのハカマをつけた。発振は水晶発振方式でVXO化しているが周波数範囲を広げるには外付けVFOが必要となる。誰でも比較的簡単に作れるので昔は入門用としてこの程度のもので出ている無線局も結構あった。これでも電信なら外国まで飛んでいく面白さがあった。
短波受信機 ― 2019年03月18日

自作のSSB送信機と組み合わせて使うための受信機として作ったもの。
高性能受信機の実現を狙い、具体的には選択度・安定度・混変調特性の向上を目指して色々工夫や調整を繰り返した。フィルタ帯域幅は国際電気のメカフィルMF455-10CKと05CKの2種類を必要に応じ付け替えるという極めて面倒くさい方式。当初スイッチで切り替える方法を検討したが入出力間シールド特性の悪化を避けるため諦めた。電源部は内蔵するスペースがなくて外付け方式を取った。このため発熱は低く抑えられ、VFOの温度補償は楽になり高安定度が得られたのは幸いだった。
高性能受信機の実現を狙い、具体的には選択度・安定度・混変調特性の向上を目指して色々工夫や調整を繰り返した。フィルタ帯域幅は国際電気のメカフィルMF455-10CKと05CKの2種類を必要に応じ付け替えるという極めて面倒くさい方式。当初スイッチで切り替える方法を検討したが入出力間シールド特性の悪化を避けるため諦めた。電源部は内蔵するスペースがなくて外付け方式を取った。このため発熱は低く抑えられ、VFOの温度補償は楽になり高安定度が得られたのは幸いだった。
オールバンドSSB送信機 ― 2019年03月19日

自作の送信機。外見はVFOを搭載していないのでAM送信機と勘違いする人もいるがれっきとしたSSB/CW送信機。終段6146パラレルで出力100W.HF全バンドをカバーする。VFOは周波数安定化のため外付けとしている。回路的にはトランジスタと真空管のハイブリッド方式であり、SSBの生成はフィルタ方式で、自作のハイフレクリスタルフィルタを使用している。フィルタ特性の調整は、測定器が高周波発振器、低周波発振器、オシロスコープしかなかったので大分苦戦した。全体の回路構成はプリミックス方式のシングルコンバージョン。難しかったのはオールバンドの段間増幅部分で、バンドスイッチから前段にフィードバックが心配だったのでスイッチ間や段間同調回路は大掛かりなシールド構造をとった。これにより各段の中和も全バンドに渡って安定に取れた。この辺は電子工作というよりは機械工作の領域かもしれない。この送信機は自分としてはかなりの力作であり、満足できる作品。
18MHzQRPトランシーバ ― 2019年03月20日

18MHzバンドのポータブルトランシーバをと考えて作ったもの。SSBジェネレータは熊本シティスタンダードを用いた。終段は2SC1307、出力約5WでSSBのみ。ケースは市販のアルミシャーシを利用したので不格好かつ大きい。試作実験後にちゃんとしたコンパクトなケースに組み直そうと考えていたが結局そのままになってしまった。
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