陰謀論2024年07月20日

最近ある人から日航機123便の墜落事故原因について話が挙がった。随分古い話を持ち出すと思ったら、真相は森永卓郎によればこれまで報告されていることと違うという話。この事故については後部圧力隔壁の修理ミスによる金属疲労破断が原因で決着した筈であり、運輸省航空事故調査委員会の報告書「日航機事故報告書」及びその付録である試験研究結果で詳細が検討されている。その内容は読んでみた限り客観的論理的に検証がなされ、懐疑的な見方を差し挟む余地の少ないものに思える。航空機事故は多くの尊い人命を失う取り返しのつかない問題である。だから同じ原因による事故を再発させないよう徹底的な原因究明が必須となる。この事故から得られた知見に基づき、修理確認プロセスの見直しや隔壁が破断しても流出空気流が垂直尾翼や油圧系統を破壊しないようなフェイルセーフ設計、隔壁強化などの対策がなされた。
しかし一方、青山透子とかいう人の書いた当該事故に関する奇妙な陰謀論も出回っている。
先日本屋で森永卓郎の「書いてはいけない」という本がベストセラーで陳列されているのを見つけて、これかと思って少し立ち読みしてみたが買う価値は無いと判断した。
この本の中の日航機事故についての内容は森永卓郎の独自見解ではなく、青山透子という人の書いた本をそのまま受け売りしているだけのようだった。ネットで読者の書評を見ると随分多くの人がこの内容を信じているようなのには驚いた。裏付けの無い突飛な陰謀論だが、読んだ人が簡単に信じてしまうことにカルト宗教のような危うさを覚えた。森永卓郎は航空機事故に関し何の知見も無い素人ゆえ簡単にこのようなトンデモ話を信じてしまったのだろう。非専門家であっても知名度だけは高いから陰謀論の広告塔になってしまう。
人はなぜ荒唐無稽な陰謀論を信じてしまうのか?
事実やデータや試験解析を積み上げて原因究明した結果よりも、裏付けのない憶測や空想で組み立てた根拠薄弱な話の方が意外性があって飛びつきやすいのだろうか?

陰謀論には信憑性の高い証拠や根拠が提示されておらず話に飛躍があるという特徴がある。従ってあくまでも懐疑的批判的に捉える精神を普段から養っておくことで、このような書物に出会っても耐性を保持できる筈である。

コメント

_ mabe ― 2024年12月30日 12:33

森永が最初に疑問を持ったのはニュースステーションで流した「米軍がその日のうちにヘリで救出に入った」という特報からでした。しかしいつまで待っても、続報がない。どうなったのか、なんにもどこでも言わない。
その後、他局でも森永がその話題を持ち出すと邪魔される。番組をおろされる。どうなっているんだと疑問を極大化させていくことになります。

その日の夕方、米軍がヘリで墜落地点上空に行き、救出活動をしようとしたという情報は嘘情報なのか?

自衛隊が米軍に「自衛隊がやるからやらないでいい」と言ったのは嘘情報か?

米軍はすぐ墜落地点がわかったのに、自衛隊は一晩中わからなかったのか。そんなに自衛隊は能力ないのか?
わからなければ、米軍に聞くという動作もできないほど、硬直した組織なのか、自衛隊は?

もしかしたら、わかっていたけど、暗くなってきて、ヘリを飛ばして救助するのが危険と判断してやめたのかも知れない。

米軍がやると言っているのをやめさせて、自衛隊でやるからいいと言っておきながら、やらないと言うのも都合が悪い、格好がつかないと考えて、外部には墜落地点がわからないと朝まで言い続けたのか。

_ 寺内 ― 2024年12月30日 13:29

コメントありがとうございます。
ここで書いたのはあくまでも事故の発生原因に関してのみです。
こちらが議論になったのは事故原因についてだけの話なので
米軍や自衛隊の対応に関してはわかりません。
それらについては機会を見て当時の資料を読んでみたいと思います。

_ mabe ― 2024年12月30日 18:06

前掲のコメントは森永卓郎が墜落事故に疑問を持つ最初のきっかけになった疑問(青山透子のでもあった疑問)の救助の疑問について書いたものですが、
そこから次々湧いてきた管制誘導上の疑問、周囲の目撃上の疑問、破損した隔壁など技術上の疑問、フライトレコーダー•ボイスレコーダーの全面公開を拒否している疑問など多々ありますが、きっかけは救助の疑問でした。

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