直観力を高める方法2019年03月22日

バーバラオークリーの「直観力を高める数学脳の作り方(河出書房新社)」 によれば、記憶力が非常に良く、見聞きしたことを鮮明に記憶できる人がいた。しかしなぜかその人は記憶した事柄をもとにして新しい問題を解決するとか、新しい概念を生み出すことはできなかった。この記憶力の良い人は事象の細かい点を詳細に覚えているが、全体の概要を把握することは苦手だった。つまり木を見て森が見えずの状態。この人の脳の作用などを調べることで、脳と創造の関係が見えてきたという。この人は情報を非常に生き生き鮮明に記憶するが、個々の記憶が鮮やか過ぎてバラバラの記憶からまとまりのある概念を頭の中に構成できなかった。概念を構成するためには、まず覚えたことを意味のあるつながりに再構成することが重要らしい。 概念は覚えるだけでは無駄であり、それを必要なときに自在に応用できるようにならなければ価値がない。このためには、繰り返しの経験が必要で、演習や色々な問題解決の経験が重要となる。こうして、応用可能な概念がいくつも形成されると、未だ経験したことのない新たな問題を解くための直観力が生まれてくるという。コンピュータや写真のような記憶力があっても必ずしも人間の創造性に寄与しないというのは救われる話だが、地道な努力と経験の積み重ねなしには直感さえも働かないということのようである。

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