自粛か緩和か2020年05月11日

コロナウイルス感染対策として日本は緊急事態宣言中であり、社会活動への制限や自粛が行われている。しかし実際のところ自粛や規制が正しいのかそうではないのかまだわからない。自粛や規制は高齢者や持病持ちの感染リスクを抑えるが、同時に経済活動停止状態が長く続くことになり、経済破綻により日本が破滅に向かう可能性もある。いくら感染速度を抑えられたとしても経済が破綻すれば総体的な死者の数はむしろ増加する恐れもある。つまり感染も経済も両方人間社会の死に直結していて優先度を選べるものではない。また経済面だけでなく、子供の学校閉鎖に関しても規制することと緩めることのどちらが正しいのかは判断できない状況である。
自粛を緩和した場合、感染者数は規制時よりもずっと増加して病死者を増やす。その反面、自然免疫者の増加率が上昇することで事態の終息までの期間を短くすることが期待できる。この新型ウイルスがどのようなものであるのかまだ判っておらずワクチンもない現状では結局感染が蔓延して自然な免疫者の割合が十分高くなることでしか終息の見通しはないようだ。従って、自粛や規制によって感染を引き延ばせばそれだけ免疫を持つ人の増加に時間がかかり、流行期間を引き延ばして経済不況を長引かせることになる。しかしこの免疫に関しても新型コロナウイルス感染で生ずる抗体の効果がどれほどのものなのか未知だ。また、自粛緩和時の感染の拡大速度の異常上昇の恐れもある。
以上のようなことから、自粛や規制により感染速度を下げる方向と、緩和により感染拡大速度をある程度上げることで終息までの期間を短縮する方向の間のどの辺りに最適解があるのかは分からない。但し日本は感染者数も死者数も見かけは少ないがそれが実体を現わしているのかどうか掴みにくい。感染者は検査されていない母集団の中に既に遥かに多く存在している可能性があるし、死者はコロナ感染から除外されている隠れ死者数が膨大な可能性もある。まず統計的推定が可能なデータを集めることが日本にとって第一義の問題だろう。
現在、世界の各国は感染と経済を両天秤にかけて政策を進めている。そのバランスの取り方は各国の考え方によって違っている。これは今、世界で未知のウイルス感染に対し色々な方向の大規模な社会実験を行っているのだとも言える。その最終結果を見るまではどの方向が正しいのか結論は出せないが、試行錯誤の中から最適な方法が見えてくるだろう。今のところ日本のやり方が良いのか他国のやり方が良いのかわからないが、世界が色々な道を選ぶ中から適切な方法が残っていくのはダーウインの自然選択と同じことをやっているのかもしれない。

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