NHK経営委員会というもの2019年10月04日

昨年4月に放送されたクローズアップ現代+でかんぽ生命保険の不正販売問題が報じられた。この番組に関し、当事者の日本郵政鈴木康雄副社長(元総務省事務次官)からNHK経営委員会に抗議が行なわれた。NHK経営委員会はこれを受けてNHK会長に厳重注意を行ったとのことだった。この結果、番組では第2弾が予定されていたが放送されることはなくなった。郵政の鈴木副社長は元放送行政のトップであり、この人の意向をNHK経営委員会が受け入れ、報道の現場が放送内容の制限を受けたと考えられる。泥棒からの文句に警察が忖度するようなものだ。
そもそもNHK経営委員会とはどんな人たちで構成されているのか調べてみた。人員は12名でメンバーは財界系6名、大学などの教育機関から5名、政府系と思われるNPOから1名となっている。つまり殆どが政府の意向を受けたメンバーと考えられる。特に財界人が多いが、財界人は経営といっても要は利潤追求のプロに過ぎない。NHKは国民の金で運用されているのだから利益を追求する必要はなく、財界人がこれほどまで多い必要性を感じない。大学系は中身がわからないので違っていたら申し訳ないが多くが政府に都合の良い御用学者だろうと憶測する。NHKは国民の受信料で運営されているのだから一般国民が本来の経営委員であるべきだ。全員とはいかなくても半数以上が一般国民から選ばれるのが望ましい。現在のメンバーを見ただけでその体質は一目瞭然であり、放送行政の元トップからの文句ひとつで報道が左右されるのも頷ける。本来、経営委員会は番組内容や報道現場に干渉してはならない筈だが、現実には何らかの理屈をつけて強い影響を与えている。かんぽ生命保険の問題はNHKのこの番組によって国民に明らかにすることができた。これはNHKの報道現場の使命感の強さを表すものだったと言える。それが不都合だからと経営側によって番組が阻止される実態がこの国の姿を現しているのだろう。