空気中の霧から水をつくる2019年08月08日

空気中から水分を抽出するには例えば、露点温度以下への冷却によって結露させて水滴を得たり、吸湿剤を使うなどがオーソドックスな発想である。これを結晶膜の特性から生み出すという新しい発想の技術が生まれた。
理化学研究所8月6日のプレスリリースによれば、シロアリの翅(はね)の表面構造を再現することに世界で初めて成功したとのこと。シロアリの翅は空気中の小さな霧粒を捉えて水滴を作る一方で、雨粒などの大きな水滴は弾くという特性がある。今後この技術を利用して空気中の霧から水滴を集めるといった実用化が期待できるという。
研究を主導したのは龍谷大学内田研究室で、光を当てると可逆的に色が変化するフォトクロミック分子というものを2種類混合した結晶膜に紫外線を照射することでシロアリの翅が示す二重濡れ性を再現できた。オーストラリア原産のあるシロアリは天敵から身を守るために敢えて雨季に新しいコロニーへと飛び立つ。そのためその翅は水を効率的に弾かなければいけないので、大きな水滴は弾き、小さな水滴は集めてある大きさにして羽ばたきにより飛散させるというメカニズムを持っている。その翅の表面構造に着目して2種類の分子を混合した大きさの異なる2種類の結晶膜を作ることでシロアリの翅の表面構造に似たものが作れたという。この表面は超撥水性を持つと同時に霧のような小さな水滴は吸着できる。この特性は人が掃除しなくても表面をきれいに保つ自己清浄作用や空中の霧から水滴を集めたり、水滴を保持できる材料などへの応用が期待される。
自然界の生物の持つ特性を観察し、そこから得られた知見や発想で新しい材料や構造を創る研究の方向性は今後も大いに期待できそうだ。

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