SWR(定在波比)について2019年04月24日

交流や高周波の伝送線と負荷のインピーダンスが異なっていて不整合があると伝送線路上の進行波の一部は負荷に吸収されず反射される。これを反射波と言うが、この進行波と反射波の電圧比率をSWR(VSWR)と呼んでいる。SWRは進行波電力をP、反射波電力をRとしたとき、SWR=(√P+√R)/(√P―√R)で表せる。例えば進行波電力Pが10Wで反射波電力Rが2.5Wだった場合、SWR=3となる。ここで伝送線路が無損失の場合でも供給された電力が反射によって減じた分効率が低下すると考えてしまう人が多い。しかし反射が直ちに損失というわけではない。これは単なる進行波電力と反射波電力の比率に過ぎない。伝送線路(フィーダー)の損失がゼロの場合、進行波も反射波もエネルギー損失は生じない。反射波は負荷(アンテナ)の給電点で反射されるが定在波として伝送線路上に存在するだけであり、そのこと自体何のエネルギー損失も生じない。たしかにアンテナ(負荷)に供給される電力はP-Rとなるが供給源(送信機)からの電力もP―Rであり、Pではない。例えばSWR=3でアンテナに7.5Wが給電される場合送信機からの電力も7.5Wでありエネルギーは保存される。但しこの場合進行波電力は10Wで反射波電力は2.5Wとなる。しかし伝送線路に損失があると、進行波も反射波もエネルギー損失を生ずる。反射波はその割合が大きくなるほど伝送線路による損失割合が増大する。だから、伝送線路(フィーダー)に損失がある場合はSWRが高いほどエネルギー損失が増大する。しかし伝送線路の損失が少ない低い周波数の場合や伝送線路が短い場合などはSWRが高くても線路の電力損失は無視できるほど小さい。なお、この時送信機出口にアンテナチューナを入れて整合をとるのは、送信機の負荷条件の整合を取って最大の電力を伝送線路に送り込むためである。この場合、送信機とアンテナチューナの間のSWRは下がっても伝送線路側のSWRは変わらない。しかし伝送線路のSWRが高い場合は送信機から電力を十分に供給できなくなるのでこの不整合を補正するためにアンテナチューナーは有用である。(画像は自作のアンテナチューナーで広範囲にインピーダンス整合がとれる)但しアンテナは伝送線路と整合を取って使うべきものであり、チューナー不要なことが望ましい。

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