無線LANが速度低下する問題2024年03月12日

PCが新しくなったが回線を接続している無線LANルーターが古く、あまり速度が出なかった。そこで光回線を導入したときにプロバイダーが送ってきたNECのWG1200HP4という無線ルーターを使ってみることにした。1年近く未開封で使わないままのものだったが、接続してみると古い2.4GHzのルーターと同条件設定でも約2倍以上の200Mbps程度の速度が出た。5GHzバンドにすると更に速いので満足した。
しかし暫く使ううちに速度が低下している気がしたのでネット速度の測定サイトでデータを取り続けてみた。するとルーターの電源オン後1日~2日くらいで速度が突然最初の4分の一くらいに低下することが判明。これは古い方の無線ルーターでは同じ使用条件でも起こらない問題だった。最初は回線の混み具合や周囲の無線LAN同士の干渉かと考えて、時間帯での変動把握や周波数の変更や設置条件変更などを色々試みたが速度低下との直接的関連性は見出せなかった。この現象は2.4GHz帯でも5GHz帯でも同様に発生するし、WG1200HP4をルーターモードにしてもアクセスポイントモードにしても発生する。
接続をIPv4pppoeからIPv4overIPv6に切り替えても変化がない。このため、原因はルーターより上流側ではなく、無線機能にあると考えられた。そこでPC側のネットワーク接続状態を開いてみると無線LANとPCの間のリンク速度は2.4GHz接続の場合は300Mbpsに、
5GHz接続の場合は866Mbpsで常に安定したリンク速度を保っており、データ速度低下とは関係ないことが判った。これらのことから原因は無線LAN自身にあると推定されたので設定を色々変えてみたが特に効果は得られなかった。多分WG1200HP4の欠陥だろうと、使用を諦めようかと思ったが、最後に古い無線ルータとWG1200HP4とで設定上異なるものがあるのに気が付いた。それはセキュリティ規格で、古い無線ルーターではWPA2までだが、WG1200HP4では新しいWPA3という暗号化方式までサポートしている。安全度はWPA2よりもWPA3が遥かに高いので当然これを設定していた。これに付随してPMF(Protected Management Frame)という無線LAN通信の管理フレームを暗号化して秘匿性を上げる機能があり、WPA3ではこれがデフォルトでONになっている。しかしWPA2ではPMFのon/offが選択できる。問題のなかった古い無線ルーターではPMFの機能さえ無かったのでWG1200HP4の設定もセキュリティをWPA2に下げると同時にPMFもオフにしてみた。以降しばらくこの設定状態で観察しているが速度低下の現象は起こらなくなり、問題は解決したと判断して良さそうだ。
対策のアプローチがあまり解析的でなく、トライアンドエラーで解決できたのは忸怩たる思いもあるが、設定プログラムのように中身が自分にとってブラックボックスなものの場合はこの種のアプローチしかなさそうだ。できれば無線LANのセキュリティ方式の基礎部分まで学んで理解して原因に迫りたいところだが自分の歳と能力ではもう難しいだろう。