ボーイング737MAX8墜落事故について2019年04月22日

ボーイング737MAX8は昨年10月と今年3月の2度にわたり墜落事故を起こした。状況の調査が進んでいるが、自分なりに理解した範囲で原因を整理してみる。737MAX8は燃費を改善するため、それまでの機体を変更することなく大型のエンジンに付け替えた設計の新鋭機である。エンジンが大型化した結果、エンジン下部と地面とのクリアランスが小さくなったためエンジン取付位置をやや前方かつ上方に移した。この結果これまでよりも機首を上げるモーメントが増える傾向が出てきた。これを対策するため機首の角度(迎え角)を検出するセンサーからの信号で尾翼の昇降舵の角度を自動補正するシステムを追加した。しかし迎え角センサーに検出誤差が生ずる場合があり、新しいシステムは迎え角が大きいと判断して機首を下げるよう制御してしまうことがある。この場合、自動補正システムをカットして手動に切り替えることが出来るのだが空気速度が上がっていると抵抗が大きく機首を上げようとする手動調整は困難となる。パイロットはこの状態で悪戦苦闘したようだが手動では操作しきれず自動に戻した。この結果機首角度がさらに下がり急降下して墜落したと考えられる。結局、迎え角の検出センサーが誤動作して機首が上がっているという信号を出したのが第一の原因。2つある迎え角センサーの一方の信号がオーバーしただけでも制御をかける方式だったことが第二の原因。そしてそもそも制御しない状態では機首が上向いてしまうような新エンジン取付をしたことが第三の原因と言えるだろう。現在は対策として、2つの迎え角センサーの値を比較してずれがある場合は自動補正を止めて手動操縦優先にするなどの処置をしたようだ。一般的に性能改善などのために部分変更をすることで全体の設計バランスが狂ってしまうことは多い。これをフィードバック制御システムなどで補正しようとするとさらに二次三次の不都合が生じやすい。基本設計の悪さをカバーするためにその場しのぎの対策をすることで問題を複雑化させた悲劇かもしれない。

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