太陽黒点サイクルの状況2021年05月23日

太陽黒点サイクル24は2019年12月に極小値となり、サイクル25がスタートした。2019年12月のNOAA(米国海洋大気庁)による予測ではサイクル25のピークは2025年頃であり、黒点数は約115であったがこれ以降はまだ新しい公式な予測は出ていない。上の画像[1]はサイクル21から25までの黒点数の移動平均値であり、サイクル25の最初の10か月間の立ち上がりはサイクル24と良く似ている。もう少し見ないと傾向はわからないが、初期的な傾向から推すとやはりサイクル24と同じように推移する低調なサイクルとなりそうである。 しかしもっと楽観的な予測も出ている。Overlapping Magnetic Activity Cycles and the Sunspot Number: Forecasting Sunspot Cycle 25 Amplitude[2]では過去のサイクルの開始から終了までの周期の長さと黒点数の関係性について、黒点数推移波形を離散フーリエ変換して解析することで次のサイクルを予測している。これによればサイクル25は最大値が230前後となり、NOAA予測の2倍に達するがこれはいささか楽観的に過ぎるように思える。一方、サイクル25の次の26までの予想も行われており、Predicting Sunspot Numbers for Solar Cycles 25 and 26 [3]ではサイクル25と26はいずれもサイクル24と同程度の低調サイクルと予想している。太陽黒点数は電離層密度に影響し、短波帯特に20~30MHzの電離層反射による遠距離電波伝播に支配的な影響を与える。このため黒点数の将来予測は現在もう古くなった自宅のアンテナを替えるのに、次はどのようなものにするかを決めるキーになる。一方、地球温暖化問題は炭酸ガスによる温室効果だけでなく、太陽活動の影響が大きいため、もしサイクル24-26が低調のまま続くなら、温暖化の抑制がある程度は期待できるかもしれない。
引用: [1]Solar Terrestrial Activity Report May22,2021  [2]Solar Phys Nov24,2020 S.W.Mcintosh et al. [3]Feb19,2021 S.Wu et al.