寄生励振アンテナ2022年05月07日

最近、ある局と交信したらアンテナは別のバンドのロータリーダイポールの近傍に平行にエレメントを置いただけの無給電の寄生エレメントのアンテナという話だった。あれ?と思ってさらに話を聞いたら別の局から教わった面白い方法で珍しいでしょう?と説明してくれた。実はこのタイプのアンテナは私が昔実験したことがある。クリエートの214Aという14/21MHzの2バンド用八木アンテナを使っていた時に28MHZバンドに簡易的に出られるようなアンテナを付加したいと思った。そこで28MHzに共振するエレメントを214Aのラジエータエレメントの近傍に設置して誘導により給電できないだろうかと考えた。近接させた28MHzのエレメントの距離や長さを調節するとうまく28MHzに共振し、誘導のみで給電することができて28MHzバンドまで使うことに成功。この方法はオリジナルがあって、ハイゲイン社のExplorerというアンテナで使われていた。しかしExplorlerは元のラジエータエレメントの両サイドに計2本の寄生励振エレメントを配置する構造だった。これはさらに古い文献を調べるとスタンフォードのJ.T.Bolljahnが1950年にUS特許を取得したOpenSleeveMonopoleが原典のようだ。ダイポールアンテナの外側に接触しないよう中空のパイプを通して同軸状に形成し、ダイポールからの誘導で非接触給電させるもの。この中空パイプを2本のエレメントに置き換えたものがハイゲインのExplorer。私が考えたものは寄生励振エレメントを2本ではなく1本に簡素化したもの。1本のエレメントでも問題なく寄生励振ができることが分かったが、1本の寄生エレメントによる方法はそれまで発表された事例はなく、この点に関しては一応の独自性があるだろうと考えている。この、一本の寄生エレメントによるバンド拡張法実験は34年前のCQ誌1988年10月号に寄稿したが、その後クリエート社のVダイポールに50MHzバンドを付加するのにこれと同じ方法が用いられるようになった。
昔行ったささやかな実験が今もアマチュアの間で使われていることを今回たまたまの交信で知って少し嬉しかった。(写真は1988年に実験した寄生励振アンテナ:214A八木アンテナのラジエータエレメントに近接して平行な別の寄生エレメントを配置した様子)

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