NHK受信料2019年08月04日

NHKから国民を守る党の立花代表は、「NHKと契約はするが受信料は払わない」と公言している。その理由は放送法が、「受信設備を設置した者は協会と放送の受信についての契約をしなければならない」と規定しているが受信料を払わなくてはならないという文言はないためのようである。ニュースでは放送法の抜け穴と騒いでいる。しかしこれは本当に抜け穴なのだろうか?そもそも放送法で受信料義務が書かれていないのは、NHKに税金を徴収できるような国家的権限を与えることに躊躇した結果である。このため放送法に受信料は敢えて示さず受信契約義務のみ示した。受信契約をした者は所定の受信料を納めねばならないと契約条項に示されているので結局、契約=受信料支払いの約束である。放送法に受信料が記載されていなくても契約書には明記されているのだから別段抜け穴としては成立しないように思われる。別にNHKの肩を持つわけではないが放送法に示されていないからというだけで払う必要はないというのは無理な理屈に思える。だから立花代表がなぜ自信を持って「契約はするが受信料は払わない」と言い切れるのか不思議だ。むしろ立花代表の首を絞めることにならないのだろうか?それとももっと深い戦略があるのか考えの浅い私には意図が掴めない。
現在の受信料について、まだ全世帯の20%程度が支払っていないという。これはきちんと受信料を支払っている側から見ると不公平きわまりない。だから一番公平なのはスクランブル化することである。しかしこれはこれでNHKにとって非常に都合が悪い。スクランブル化すれば、視聴しないから契約しないという主張が完全に通るからである。これによって多くの世帯がNHKとの受信契約を打ち切る可能性があり、NHKの存在否定に繋がる。しかしスクランブル化で立ち行かなくなるようなNHKならばそれは国民にとって元々NHKが存在意味の無いものとも言えるだろう。公共放送にスクランブルは合わないという意見もあるが、それは行政側にとってだけの都合の良い考え方ではないだろうか?

放射冷却の可能性(その2)2019年08月07日

以前、このブログで電力等を消費しない冷却法として放射冷却利用の可能性について書いた(放射冷却の可能性19年5月26日)。これと似た概念を具体化した技術が19年8月5日のNatureの論文に掲載された。A polydimethylsiloxane-coated metal structure for all-day radiative coolingというニューヨーク州立大の論文である。以下そのAbstractを紹介する。

Radiative cooling is a passive cooling strategy with zero consumption of electricity that can be used to radiate heat from buildings to reduce air-conditioning requirements. Although this technology can work well during optimal atmospheric conditions at night, it is essential to achieve efficient cooling during the daytime when peak cooling demand actually occurs. Here we report an inexpensive planar polydimethylsiloxane (PDMS)/metal thermal emitter thin film structure, which was fabricated using a fast solution coating process that is scalable for large-area manufacturing. By performing tests under different environmental conditions, temperature reductions of 9.5 °C and 11.0 °C were demonstrated in the laboratory and an outside environment, respectively, with an average cooling power of ~120 W m–2 for the thin film thermal emitter. In addition, a spectral-selective structure was designed and implemented to suppress the solar input and control the divergence of the thermal emission beam. This enhanced the directionality of the thermal emissions, so the emitter’s cooling performance was less dependent on the surrounding environment. Outside experiments were performed in Buffalo, New York, realizing continuous all-day cooling of ~2–9 °C on a typical clear sunny day at Northern United States latitudes. This practical strategy that cools without electricity input could have a significant impact on global energy consumption.
金属箔にpolydimethylsiloxane (PDMS)という材料をコーティングすることで内部の熱を外部に放射する熱放射板を形成することが可能になるとのこと。テストでは9.5~11℃の温度低下が得られた。

空気中の霧から水をつくる2019年08月08日

空気中から水分を抽出するには例えば、露点温度以下への冷却によって結露させて水滴を得たり、吸湿剤を使うなどがオーソドックスな発想である。これを結晶膜の特性から生み出すという新しい発想の技術が生まれた。
理化学研究所8月6日のプレスリリースによれば、シロアリの翅(はね)の表面構造を再現することに世界で初めて成功したとのこと。シロアリの翅は空気中の小さな霧粒を捉えて水滴を作る一方で、雨粒などの大きな水滴は弾くという特性がある。今後この技術を利用して空気中の霧から水滴を集めるといった実用化が期待できるという。
研究を主導したのは龍谷大学内田研究室で、光を当てると可逆的に色が変化するフォトクロミック分子というものを2種類混合した結晶膜に紫外線を照射することでシロアリの翅が示す二重濡れ性を再現できた。オーストラリア原産のあるシロアリは天敵から身を守るために敢えて雨季に新しいコロニーへと飛び立つ。そのためその翅は水を効率的に弾かなければいけないので、大きな水滴は弾き、小さな水滴は集めてある大きさにして羽ばたきにより飛散させるというメカニズムを持っている。その翅の表面構造に着目して2種類の分子を混合した大きさの異なる2種類の結晶膜を作ることでシロアリの翅の表面構造に似たものが作れたという。この表面は超撥水性を持つと同時に霧のような小さな水滴は吸着できる。この特性は人が掃除しなくても表面をきれいに保つ自己清浄作用や空中の霧から水滴を集めたり、水滴を保持できる材料などへの応用が期待される。
自然界の生物の持つ特性を観察し、そこから得られた知見や発想で新しい材料や構造を創る研究の方向性は今後も大いに期待できそうだ。

真夜中の電話コール2019年08月12日

家の固定電話に真夜中呼び出し音が響いた。2回で切れたがとても不安になる。家の電話は旧式のアナログだし番号ディスプレイの契約もしていないのでどこから掛かってきたのかわからない。そこで番号案内を使って調べてみた。136をダイヤルすると直前に掛かってきた電話の番号を音声で教えてくれる。しかし番号非通知とのことでどこからかは判らない。だが非通知ということがわかるだけでも大事な電話ではないと判断できるので安心材料にはなる。ちなみに136番号案内の費用は30円だが非通知だった場合は無料になる。以前昼間だが短コールで切れた電話がタイミング的に不安だったので136で確認したことがあったが、その時はリフォーム会社の売り込みと判り安心した。今回のような真夜中の例はたまにあるので調べてみると、どうも電話使用状況の調査を商売にしている会社のようである。番号が使われているものかどうかを自動確認するのだそうで、真夜中の1,2回のコールなら受話器を取られることもないので費用のかからない方法とのこと。こんなことをよく考えるものだが、掛けられる側には迷惑この上ない話。睡眠は邪魔されるし、不安にさせられる。こうして作成されたリストが企業に売られる。今や固定電話に掛かってくるのは何かの売り込みやアンケートの迷惑電話が圧倒的に多い。もう家庭用固定電話は本来の役目を終えたのではないかと思われる程だ。留守番電話機能を設定しておくと無駄にこれらが記録されて再生消去の操作が煩わしいので今は止めている。しかし、たまに本来の電話もあるので留守電機能を切っておくべきか悩む。稀にある重要な電話を逃さないようにするにはやはり留守設定すべきかもしれない。アナログ固定電話は交換設備更新の問題でNTTが数年後IP電話化を予定している。しかしNTTはその先にアナログ電話を廃止して全て光回線化する戦略だろう。だから委託業者などによる悪質な光電話勧誘が増えている。NTTにこのような勧誘について聞いたところ、アナログ回線が使えなくなると騙して変更させるような悪質な売り込みはしないよう代理店に注意はしているとのことだった。しかし悪質に近いことをやっているNTT代理店の存在も認めており、完全光電話化のためNTT自身なりふり構わないところがありそうだ。アナログ電話にしろ光電話にしろ、掛かってくる電話の殆どが迷惑電話の現状では家庭用固定電話の存在意義が今後さらに問われていくだろう。

アマゾン森林火災の深刻さ2019年08月23日

アマゾン地域は地球上の熱帯雨林の半分程度を占めている。そのうちの60%がブラジルにある。このブラジルのアマゾン熱帯雨林で、今年の1月から8月までの間に約7万5千件の森林火災が発生しており、今も何千件もの森林火災が猛威を振るっている。その規模は、過去観測開始以来最大であり、昨年の同期間と比べても約2倍近い発生件数となっている。この火災により、大量の二酸化炭素や一酸化炭素が放出されており、地球規模の環境破壊が憂慮されている。アマゾン地域には約300万種もの動植物と100万人もの住民が暮らしている。この地帯での今年の天候は平年と大差ないため、森林火災の原因は人為的なものである可能性が高い。まず考えられるのが今年1月に就任したブラジルの現政権ボルソナロ大統領による規制緩和策であるとされる。森林の開発が緩和されたことにより、乱開発が横行する。その方法は手っ取り早く、乾期に森林に火をつけることで広大な牧草地を生み出すというやり方である。火災による森林減少の人工衛星観測データはブラジル国立宇宙研究所(INPE: Instituto Nacional de Pesquisas Espaciais)が報告したものだが、今年6月と7月のアマゾンでの森林減少比率が前年同月比で88%増加したと発表。大統領はこの研究所の所長を解任した。しかし各科学機関はINPEのデータを支持している。結局ボルソナロ大統領の経済優先の姿勢が森林開発業者や農家による乱開発を促進させた可能性が高い。一人の独断的な為政者の意思により地球規模での環境破壊や気候変動を引き起こし、全世界を危険な状態にする。これがナショナリズムによる狭量な自国繁栄指向のもたらす結末のようだが対岸の火事というわけには行かない。ブラジル(ボルソナロ)にとってはアマゾンは何の利益も生まない無駄な資産に過ぎず、これを農地化して利用するほうが彼らには正義かもしれない。ブラジルによる自国の乱開発を止めさせるには結局、それに代わる産業や資金の援助を全世界が行っていくなどの必要があるだろうが、果たして有効な解決策があるのか極めて深刻な状況だ。

144MHzのFT82019年08月25日

FT8はディジタル方式の通信モードだがかなり微弱な信号でも交信可能である。FT8を始めた頃は短波帯中心で144/430MHzでは何も聞こえなかった。しかし最近はV/UHF帯でもFT8に出る局が増えてきたようだ。144MHzバンドではまともなアンテナを上げておらず、近所の局と交信できればよいと考えて軒先の高さ2mちょっと位のところに室内アンテナ並みのホイップを取り付けている。今日はこれで144.460MHzのFT8を受信してみたらいくつもの信号が聞こえた。JN1NNNという川崎市の局のCQが聞こえたのでQRPの5W出力で呼んでみたら直ぐに応答があり-―6dBの信号レポートだった。こちらからはー5dBのレポートなので似たような出力かもしれない。こんな簡単な設備でも100kmほど離れた川崎の局と交信が出来たのでちょっと嬉しい。144MHzでのFM音声による平地間の交信は、この程度の設備だと20km程度がやっとなのでさすがにFT8は素晴しい。まともなアンテナがあれば144MHzFMでも関東エリアはカバーできて当たり前なのだけれど、仮設の簡単なアンテナでQRPのFT8がどこまで飛ぶのかを試すのも中々面白い。

パソコンが故障2019年08月28日

不幸は突然やってくる。傍らにお茶を注いだ茶碗を置いてパソコンを操作していたある拍子に手が茶碗にぶつかってキーボードが水浸しに。すぐさま拭いたが画面は特に異常なかった。その後風を当てたりして乾かし、再び動作させてチェックをしてみた。インターネットも普通に見られて安心したが、どうもキー操作がおかしい。調べていくとキーの半分近くが反応していない。仕方ないので画像のようにPCの上に外付けキーボードを載せて使うことにした。キーボードの厚み分だけ高さが増え、使い心地はあまり良くないが使えないこともないのでこれで我慢することにした。その後1日弱経過後チェックしたが本体のキーボードはさらに反応しないキーが増えていた。掃除機で吸い取ったりもしてみたが状況に変化はない。ただキーボード部以外の部分は特に異常もなかった。水はキーボードへの浸入だけで収まったのかもしれない。乾いてくれば復帰するかなとも淡い期待を持ったがそのようなことはなさそうだ。しかしどうして水でキーボードがこのように元に戻らない故障をするのかが不思議だ。多分完全に乾いても復活することは無さそうに思える。水分の流れ込みと同時にキー周りのごみや不純物が基板や接点に回り込んで微小な電流が流れ、それによって回路の誤動作が生じたままになったり、素子を破壊してしまったのだろうか?思っていた以上にデリケートなので驚いている。こういう経験をしても今後またPCの傍に飲み物を置くことは繰り返しそうなので、取りあえず重要なファイルだけバックアップを取っておいた。今のPCは6年以上使い続けてきた。ある程度は注意をしていたせいかこれまで特にトラブルはなかったので油断した。マーフィの法則でパソコンには必ず飲み物をこぼすと心得ておくべきかも知れない。

アンテナの風景2019年08月29日

家から数㎞のところにこのアンテナ群が立っている。自転車で散歩している途中で傍を通ったのでスマホで撮ってみた。持ち主の人とは直接会ったことはないが、もう長いこと信号を聞かない。7MHz用4エレ八木、14MHz用5エレ、21MHz用7エレ、28MHz用7エレなど各バンドをカバーする大型のフルサイズ八木アンテナ群を載せた3つのタワーが開けた場所に立つ姿は圧巻。同じアマチュア無線の趣味を持つ者にとって夢のようなロケーションとアンテナだ。私のような街中の狭い家に住んでいるとこういう場所に憧れる。今も相変わらずノイズの多い狭い場所で細々と無線を楽しんでいるが、それでも以前もっと電磁ノイズの多い場所に住んで苦しんだことを思うとまだ少しましかもしれない。いつかはこの画像のような開けた場所で無線をやってみたいと思って土地や中古家探しをしたこともあったが、アクセスや生活を無線と両立できる物件は見つからず結局実現しないままである。

5R8UI2019年08月30日

何年か前に21MHzで交信したマダガスカルの5R8UIからのカードがJARL経由で届いた。マダガスカルは東アフリカの島で、独特に進化した生態系で有名。日本からの伝播経路としては交信し易いが昔はハムの運用も殆どなく、交信するのがとても難しかった。その後常駐するハム局も出てきて比較的楽に交信できるようになった。今はアクティブな局もいるので特に珍しくはない。そのようなわけで昔はQSLカードを得ることが中々難しく、QSLマネージャにエアメールを送ってやっと手に入れたものだった。それがJARL経由で簡単にもらえる時代になったが、やはり自分としては貰うととても嬉しいので写真に撮ってみた。

IC-705 New portable transceiver2019年08月31日

DX WORLDによればICOMよりポータブルトランシーバーIC-705が発表された。オールバンドオールモードのSDRで、HF~50MHz,144MHz,430MHzをカバーする。出力は内蔵充電池の場合5Wまで、外部電源では最大10Wまで出せる。アンテナチューナについては不明だが、写真から推定すると内蔵はせず、外付けのチューナと組み合わせるようだ。ICOMは2003年頃に八重洲無線のFT817の対抗機としてIC703を発売した。チューナ内蔵で出力10Wと、FT817にはない特徴を持っていたが筐体が大きく、バンドもHF~50MHzのみだったためかFT817には勝てず製造中止となった。あれから大分時間が経過し今回はSDR構成で登場したが、興味があるのは消費電流をどの程度まで抑えられたかという点。多分ディスプレィなどにより消費電流は大きいのではないかと思われるが、運用可能時間はリチウムイオンバッテリーにより長時間運用が期待できるか。詳細は本日のハムフェアで明らかになる。