リチウムイオン電池雑感2020年01月02日

リチウムイオン二次電池はモバイル化の進む現代の電子・電気機器の基本エネルギー源として欠かせないものとなっている。2019年のノーベル化学賞はこのリチウムイオン二次電池の基本開発を行った旭化成の吉野氏ら3人に与えられた。技術的な内容についてはわからないが興味があったので特許面などからの開発初期の大まかな経緯を追ってみた。
リチウムイオン二次電池は正極・セパレータ・負極・電解質などの基本要素から構成される。
1979年特許1633812号で英国原子力公社がリチウムイオン二次電池に関する実質的な最初の特許を取得した。発明者はグッドイナフ(2019年ノーベル賞)、水島。
1981年特許1769661号で三洋電機が負極の材料として炭素を用いたリチウムイオン二次電池の特許取得。三洋の池田らはリチウムを結晶中に混ぜた炭素化合物を負極として世界に先駆けて開発した。負極の炭素材料は現在のリチウムイオン二次電池につながる。
1985年には特許1989293号で旭化成工業吉野らがリチウム酸コバルトを正極材料とする現在のリチウムイオン二次電池の原型を開発。
1988年には特許2621294号でソニーが最初のリチウムイオン二次電池量産化関連の特許を取得した。
その後、リチウムイオン二次電池は世界規模での開発競争となって技術研究や改良が進み現在に至る。
ノーベル賞はこれらの主要な技術発明の中で結局今日のリチウムイオン二次電池につながる貢献度の高いグッドイナフ、吉野らに与えられた。科学の成果や技術開発というものは多くのパイオニア達の仕事を礎として最終的な技術を確立した一部の人間が評価されるが、これに関わった多くの人たちの努力貢献や失敗の上に積み上げられてきたものであることを忘れないようにしたい。また三洋電機のように当初は世界に先駆けて重要な要素開発を行っていたとしても結局粘り強い研究開発が継続できず実らないうちに歴史の中で消え去るものも多い。大事なことは諦めず長く継続することに尽きる。

白内障2020年01月09日

小学生のとき若干の近視が始まったが、すぐ眼鏡をかけさせられたため急激に度が進行した。数年後には強度の近視となり、眼鏡レンズの厚みはどんどん増えて牛乳瓶の底のようになってしまった。眼鏡を外すと棟方 志功並みに目を近づけないと文字が見えなくなった。歳をとるにつれ、これに老眼と白内障が加わり最悪の状態に至る。本を読むのも難しくなってきたし、パソコン画面を見るのも大変で、このままいくと失明ということになりかねない。意を決して昨年末に眼科を訪ねる。白内障の治療は濁ったレンズを交換するため、レンズの焦点距離を選べば同時に近眼の度も弱められるということだった。結局今年の正月明けから日帰りの手術を実施。手術の同意書に家族もということだったが家族はないので許してもらった。眼科医院までは歩いて通い、隔日で左右の目を手術。手術後は片目が見えないし、見える方の目には眼鏡もかけられないので通院中の生活を全て自力でこなせるよう綿密な日程計画書を作って準備対応。治療生活もなんとか順調に進んで現在眼帯が外せたところだが、見える世界の変化に驚いた。人生の90%近い期間、眼鏡での生活であったため、目が覚めた時に天井の模様が見えるという経験は60年ぶり位だろうか。これまで見る景色は印象派の絵画のような朧げな感じだったのが写真画像のようにくっきりと見えるようになった。今後は眼鏡なしでも全く問題なく過ごせそうだが、これは人生における大変革だ。これまで目が悪いことにより物の形や人の顔もはっきり視認できず、いつも曖昧なイメージしか頭に描けないのは認知機能に著しい悪影響を与えていたろうと思う。昔から記憶力が悪いのも目が影響しているかもしれない。脳内に詳細な形を描かないことにより、脳への血流が不足して認識活動を停滞させるのではないだろうか? 果たして今回の視覚の改善により脳に良い影響を与えられるのか、あるいはそんなことに関係なく認知力低下は進むのか今後の経過の自己観察を続けたい。

白内障(その2)2020年01月20日

手術して2週間ほど経過。視力は以前より格段に改善され、裸眼で左0.7右0.4程度の視力で安定し、眼鏡なしでも普段の生活には十分である。
しかし良いことばかりではない。本などを読もうとして明るいところで両目を凝らすと、フリッカーのような軽いちらつきを覚える。周波数は数Hz程度だろうか?こういう現象はこれまで経験をしたことがない。
原因について幾つか考えてみた。一つは目の筋肉が緊張して僅かな震えを起こす場合。目は実際に動いているが脳はそれを静止しているように補正するそうである。しかし、まだ脳が目の変化に慣れていないため補正処理できない状態にあると考える。二番目は今までよりも沢山の光量が目に入るため、脳がこれを防御しようとする。三番目は固定焦点レンズになったため、目の遠近調節筋がピントを合わせようとするがレンズ厚みは一定のため応答せず制御できないためハンチングのような動作をする。四番目は両目の視力に違いがあるために相互の干渉で起こるのではないか。
まあ、色々妄想できそうだが今のところ確かめる手段がないので想像のみである。真の原因はどれとも違うものかもしれない。いずれにしても、脳の慣れによって解決するものであって欲しい。何でも問題点が解決すると、それがまた原因となって副次的な新しい問題が生ずるのは仕方のないことだろう。元々の大きな問題が解決しただけで満足すべきなのかもしれない。

電波障害2020年01月25日

アマチュア無線において昔から悩みの種は電波障害である。以前のテレビ放送はアナログ信号によるものであったため、電磁波による障害を受けやすかった。アマチュア無線の電波は送信する側の電波の質をどんなに向上させても直接テレビやオーディオ機器に飛び込むものがあり、送信側の対策のみでは解決は困難だったため、アマチュア無線の運用を諦めて閉局した人も多かった。しかし近年はテレビがデジタル放送になったため電波障害の問題は激減した。これに加え、多くのオーディオ機器等でも高周波に対する侵入阻止やバイパス処置がきちんと行われるようになり、機器のイミュニティ自体も向上している。また送信側でもフェライトコアなどが普及し、アンテナへの給電線から高周波が漏れる所謂コモンモード障害の対策が当たり前になった。これらにより、近年は短波帯などの無線による電波障害の問題は激減した。しかし、テレビなどの電波を受ける機器以外の家電機器などではまだ問題を生ずることもある。この問題に大きく関係するのが送信される電波の振幅変化である。高周波の振幅を変化させるSSBやAMなどの振幅変調モードや高周波を断続する電信モードでは、その振幅の変化が受ける機器側の非線形性によって検波され、機器に障害を生ずる恐れが残っている。これによってスピーカーから音が出たり、機器を誤動作させることがある。本来は受ける側のイミュニティ対策もしっかりすべきなのだが、日本の基準では欧州などに比べてこのイミュニティ基準がまだまだ甘い。
それでは送信側では何の打つ手もないのだろうか?一つ有効な方法がある。先に述べたように障害を与える主要因は高周波そのものというより高周波を振幅変化させている点が大きい。FM(周波数変調)ではこの振幅変化が原理的に無いため、受ける側の回路に非線形部分があっても何も検波されない。つまり高周波を受けても復調されない。FMはこのように電波障害に有利な側面を持つ。昔50MHzバンドでオーディオアンプに侵入する障害に悩み、変調をAMからFMに変えて対処した経験がある。現在はデジタル信号による通信も普及してきた。例えばFT8というモードは基本的にはFMであるため、電波障害を生じにくいという強みを持つ。その上弱い信号でもS/Nの点で有利な狭帯域通信であるため遠方との交信に向いている。まだまだ機器のイミュニティが十分でない現状において、このような電波障害を生じにくいモードはアマチュア無線における救世主とも言えるだろう。