SteppIRアンテナの使用記2019年06月04日

ビームアンテナは色々なものを試してきた。竹で作ったクワッドアンテナは1エレから3エレまで作った。特に15m用2エレキュビカルクワッドは当時としては性能上申し分なく、それほど活発ではなかった太陽黒点サイクル20でも海外との交信の面白さを十分味わえた。しかし毎年台風が来るたびに壊されて作り直しという厄介なものだった。それから10年以上を経てやっと念願のタワーを建設でき、トライバンド八木や2バンド八木、モノバンド八木など色々試した。トラップ式の八木は寿命も長く使いやすかったがトラップ損失により八木アンテナとしての性能はかなり妥協せざるを得ないものだった。また、色々な周波数で使うためアンテナを重ねて設置したが相互干渉による性能の低下は否めなかった。その後、新道路計画により土地が大幅に削り取られ、タワーも撤去。しかし無線への情熱は冷めず、残った狭小な土地でも上げられるコンパクトなアンテナを探した。12年ほど前にクランクアップタワーを新設。その時、エレメントを巻き尺式で伸び縮みできる20m~6m用SteppIR3エレ八木アンテナを選択。理由は各バンドがフルサイズで動作すること、アンテナを重ねずモノバンドアンテナ1本と同等な理想的配置が可能になることなどによる。結果は性能的には期待通りで非常に満足できるものだったが、機械的強度に問題があった。経緯は以下の通り。
2007年6月 アンテナ新設
2008年10月 導波器の駆動ユニットが故障(写真)し、ユニットを交換修理
2015年5月 反射器の駆動ユニットが故障したが放置して2エレ八木として使用継続
2017年7月 反射器の駆動ユニットを交換修理し現在に至る(現在で12年経過)
導波器と反射器の駆動ユニットは同じものでロットも同じだった。故障形態も両方同じで、巻き尺式エレメントを繰り出すモータ駆動のスプロケットの軸が折れたもの(写真参照)。この軸は絶縁が必要なため樹脂製だが、このロットは樹脂材料を強度の低いものに設計変更してしまったことで樹脂の経時的な応力割れ現象を引き起こした設計ミス(現在は強化対策済)。割れ発生までの時間には大分バラツキがあり、導波器側が1年ちょっとで壊れたのに対し反射器側は8年近く持っている。そして放射器に至っては12年経過した現在まで全く問題がない。これは放射器では給電が必要となり、絶縁構造も違うので軸の材料もロットも異なるためのようだ。途中で2度のユニット交換を強いられたのは運が悪かったが、12年経過後も性能特性的には劣化もなく、優秀である。ただ、長く太陽の紫外線に晒されているため、エレメントのケーシングであるグラスファイバーロッドの塗装の脱色が進んでいる。濃い緑色から白色化し、現在は透明になりかかった部分もあり、いつまで耐えられるのか判らない。しかし12年使えれば御の字だろう。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック