NHKスペシャル量子もつれ ― 2024年12月30日
NHKスペシャル12月28日放送の「量子もつれ アインシュタイン最後の謎」の録画しておいたものを先ほど観た。難しいけれど面白い。
量子もつれとは簡単に言えば粒子同士が同期する現象のこと。2つの粒子に量子もつれの関係が形成されると、粒子同士がどんなに遠くまで引き離されても2つの粒子が同期する。一方の粒子の状態が変化すると他方の粒子も瞬時に同期して変化するという現象。従って一方を測定すれば他方が遠方に離れていても相手の状態がわかることになる。
(この奇妙な現象については私も興味があって2019年5月21日付のこのブログ上に書いたことがある)
アインシュタインはこのような量子もつれを否定していた。当時は学会でも量子もつれ現象は否定的で、それを研究する人は立場を失っていくという禍々しいテーマだった。最初の頃ボームという人は次のような理論を提唱した。
スピン1重項状態にある2つの電子が分裂して、それぞれ反対方向に飛び出した時、離れた場所でスピンの方向を測ると一方が上向きなら他方は必ず下向き、一方が下向きなら他方は上向きと常に反対を向く。測定するまではスピンの方向は判っていないにも関わらず両電子がいくら遠くに離れても成立するという。
この理論は証明のしようがなく、結局無視された。
その後JSベルが、ベルの不等式という量子もつれの有無を判定する式を考案。それを基にしてクラウザーが光子を使ってその相関を実験的に調べることに挑んだ結果、ベルの不等式が破れるという実験結果が得られた。ベルの不等式が破れるというのは量子もつれが存在することを意味している。クラウザーは光子増倍管を使った5mくらいの実験装置を自作して量子もつれの存在証明実験を行った。予算が無いのでジャンク箱などを漁って部品調達したという。部品が欲しくてゴミ漁りや盗んでまで求めたという言葉にその夢中さを感じた。子供の頃、自作のための電子部品が欲しくて古物屋漁りして探し求めた経験がスケールは全く違うが重なった。
しかしクラウザーの実験はいくつか抜けがあり、完全な証明とはならなかった。その後、ツァイリンガーが宇宙の遠方からの光を偏光板で制御するという壮大な実験をして完全にベルの不等式の破れを証明した。これにより量子もつれの存在が証明された。クラウザーやツァイリンガーらはこの功績により。2022年度のノーベル賞を授与されている。
科学技術は常に権威者による否定に立ち向かう若き研究者によってその壁を打ち破る歴史が刻まれてきた。アインシュタインが否定した量子もつれという奇妙な現象の存在は証明されたが、なぜ量子もつれが生じるのかそのメカニズムはまだ不明であり、さらに将来の人に託されている。
量子もつれとは簡単に言えば粒子同士が同期する現象のこと。2つの粒子に量子もつれの関係が形成されると、粒子同士がどんなに遠くまで引き離されても2つの粒子が同期する。一方の粒子の状態が変化すると他方の粒子も瞬時に同期して変化するという現象。従って一方を測定すれば他方が遠方に離れていても相手の状態がわかることになる。
(この奇妙な現象については私も興味があって2019年5月21日付のこのブログ上に書いたことがある)
アインシュタインはこのような量子もつれを否定していた。当時は学会でも量子もつれ現象は否定的で、それを研究する人は立場を失っていくという禍々しいテーマだった。最初の頃ボームという人は次のような理論を提唱した。
スピン1重項状態にある2つの電子が分裂して、それぞれ反対方向に飛び出した時、離れた場所でスピンの方向を測ると一方が上向きなら他方は必ず下向き、一方が下向きなら他方は上向きと常に反対を向く。測定するまではスピンの方向は判っていないにも関わらず両電子がいくら遠くに離れても成立するという。
この理論は証明のしようがなく、結局無視された。
その後JSベルが、ベルの不等式という量子もつれの有無を判定する式を考案。それを基にしてクラウザーが光子を使ってその相関を実験的に調べることに挑んだ結果、ベルの不等式が破れるという実験結果が得られた。ベルの不等式が破れるというのは量子もつれが存在することを意味している。クラウザーは光子増倍管を使った5mくらいの実験装置を自作して量子もつれの存在証明実験を行った。予算が無いのでジャンク箱などを漁って部品調達したという。部品が欲しくてゴミ漁りや盗んでまで求めたという言葉にその夢中さを感じた。子供の頃、自作のための電子部品が欲しくて古物屋漁りして探し求めた経験がスケールは全く違うが重なった。
しかしクラウザーの実験はいくつか抜けがあり、完全な証明とはならなかった。その後、ツァイリンガーが宇宙の遠方からの光を偏光板で制御するという壮大な実験をして完全にベルの不等式の破れを証明した。これにより量子もつれの存在が証明された。クラウザーやツァイリンガーらはこの功績により。2022年度のノーベル賞を授与されている。
科学技術は常に権威者による否定に立ち向かう若き研究者によってその壁を打ち破る歴史が刻まれてきた。アインシュタインが否定した量子もつれという奇妙な現象の存在は証明されたが、なぜ量子もつれが生じるのかそのメカニズムはまだ不明であり、さらに将来の人に託されている。
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