スポラディックE層について ― 2019年05月30日
電離層は地上から数十km~数百kmの高さにある空間の粒子が太陽からの紫外線などによりプラスのイオンとマイナスの電子に分かれてプラズマ化して短波の電磁波を反射する性質を持つ。北半球では今頃の5月から6月にかけてはスポラディックE層(Es)という興味深い突発的な密度の高い電離層が100kmくらいの高さに発生しやすい。Esは反射する臨界周波数が高いためFM放送くらいの高い周波数も反射して遠方に電波が届く。Esが発生するのは中緯度地域が多く、日本付近は特にEsが発生しやすい。Esの発生予測については昭和30年頃にJA1KS栗山さんがKSから名付けたキングソロモンの法則が有名である。これは温暖前線が通過する蒸し暑い日に強いEsが発生しやすいという経験則であるが、気象現象はEsの高さ100km程度に比べて十分の一くらいの高さまででしかない。そのような低い場所の気象が電離層生成に関係する筈がないということで否定されている。現在ではEsは次のように説明される。中緯度地帯では,地球磁場の方向が水平より傾きをもっており, 地球磁場の傾きと大気の東または西 向きの風との作用によって,イオンは摩擦力とローレンツ力を受けて鉛直方向に対し上または下向きにドリフト運動する。したがって,ある高度を境にして風が上側で西向き,下側で東向きに吹くようなずれ(shear)があると,その高度にイオ ンと電子がドリフト運動により集積して密度の高い層が形成される。 これをwind shear説と言い、現在最も有力とされている。 しかしこの理論でも説明できないケースもあり未だ完全には解明できていない。キングソロモンの法則は否定されたが、50MHz帯でのEs伝播の発生を観察していると、たしかに日本列島が晴れ渡っている日は発生せず、前線が通過した日あたりに発生することが多い。経験上で考えると気象現象がEsに関係ないとまでは言い切れないように思われる。例えば、これは想像に過ぎないが前線により暖気が超高層まで上昇してプラズマ雲を生成するための大気の流れ(wind shear)に何らかの重要な影響を与えているのではないかとも考えられないだろうか?Esについては未だ分かっていない面があり、アマチュアの研究テーマとしても面白いかもしれない。
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