オーディオアンプの妄想(2)2020年11月21日

前回、真空管のプッシュプルアンプをシングルで使うには単に片方(ダミー側)の球のグリッド入力をなくしただけでは駄目だという結論になった。理由は球のEp-Ip特性カーブに傾きがあるためである。それならばこのEp-Ip特性をEp変化の範囲内で完全フラットにすることでEpが変化してもIpは一定値を保つようにしてやればよい。これを実現するためにはダミー側6CA7のカソードに定電流回路を組み込むことでプレート電流の一定化を図ることが可能になる。これにより、まず電力増幅を担う一方の6CA7のプレートには入力信号に応じた交流電圧が生じ、この電圧はトランスの一次巻き線を介してもう一方の6CA7(ダミー)のプレートにも同じ振幅でかつ逆位相に加わる。しかしダミー側の6CA7のカソードには定電流回路が直列に入ることにより、出力トランスの一次巻き線上の交流電圧出力が変動してもダミー側6CA7のプレート電流は全く変動しない回路動作になる。従って6CA7は一本だけが電力増幅管として動作し、ダミー側の6CA7はその電力増幅に何の悪影響も与えない単なる直流キャンセラーとして動作する。この結果完全なシングルアンプとしての動作が実現できる。わざわざシングルアンプを組むのにこのような複雑で効率の悪いことをやる必要はないが、出力トランスへの悪影響のないシングルアンプが理論上可能となる。実際に6CA7を3極管接続した理想的なA級シングルアンプの特性がどれだけ期待できるものかはわからないが、アマチュアの興味で試してみるのも面白そうだ。6CA7の三結A級プッシュプルアンプと6CA7の三結A級シングルアンプを出力トランスというパラメータ除外した形で聞き比べることが可能となる。

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