太陽活動状況 ― 2025年04月02日
Honor Rollアワードが届く ― 2025年03月15日

1年半ほど前にDXCCのHonorRollが達成できた。HonorRollとは全世界を現存する340のエンティテイに分けてこれらの全地域と交信を目指し、残存桁数がシングルになると資格が得られるもの。
これを達成したからといって、何の実益も無い純粋な趣味の世界で単なる自己満足ではある。でも実益のない目標を追いかけるのは仕事などの損得とはかけ離れたものであるからこそ楽しい。
しかし、達成できたとは言っても何も形に残らないのは寂しいので最近Certificateを申請してみた。かかった費用は$30.
最初はARRLから印刷できないという返事だったが金は引き落とされていた。不慣れな英語で金を返せと文句を書いて送ったら、出来たから送るというメールが届いた。送られてきたのは上の画像の物。日の出日の入りのグレーライン上にある地球を宇宙から俯瞰した美しいデザインで気に入ったので、これまでの経緯は不問に付した。
ここに至るまでトータルで60年近く要しており、まさに趣味だからこそやれる話。昔はTVに妨害が出るので、真夜中のTV放送の無い時間だけの交信に限られ、多くの珍しい地域との交信の機会を逃したし、自宅のロケーションも悪く、多くのノイズの中から微弱な信号を取らねばならなかった。
色々な障壁で達成するのに普通より随分長い時間がかかったがそれだけに喜びも大きい。
たわいない遊びに過ぎないが、趣味というものは当人には案外真剣な道楽である。
これを達成したからといって、何の実益も無い純粋な趣味の世界で単なる自己満足ではある。でも実益のない目標を追いかけるのは仕事などの損得とはかけ離れたものであるからこそ楽しい。
しかし、達成できたとは言っても何も形に残らないのは寂しいので最近Certificateを申請してみた。かかった費用は$30.
最初はARRLから印刷できないという返事だったが金は引き落とされていた。不慣れな英語で金を返せと文句を書いて送ったら、出来たから送るというメールが届いた。送られてきたのは上の画像の物。日の出日の入りのグレーライン上にある地球を宇宙から俯瞰した美しいデザインで気に入ったので、これまでの経緯は不問に付した。
ここに至るまでトータルで60年近く要しており、まさに趣味だからこそやれる話。昔はTVに妨害が出るので、真夜中のTV放送の無い時間だけの交信に限られ、多くの珍しい地域との交信の機会を逃したし、自宅のロケーションも悪く、多くのノイズの中から微弱な信号を取らねばならなかった。
色々な障壁で達成するのに普通より随分長い時間がかかったがそれだけに喜びも大きい。
たわいない遊びに過ぎないが、趣味というものは当人には案外真剣な道楽である。
電磁界シールドの難しさ ― 2025年02月15日

ラジオ工作の趣味はノイズやシールドとの闘いである。
ラジオ作りを始めた頃からノイズや発振に悩まされた。
古くは高1ラジオを作った頃。高1とは高周波増幅1段のストレートラジオのこと。
高周波増幅管6D6にはシールドケースを被せなければならないことやアンテナコイルとプレート側同調コイルとはシャーシの上側とシャーシ内側とに離して取り付けることで静電結合を防ぎ、又一方は立てて他方は寝かせるようにすることで磁力線を直交させて電磁的結合も防いだ。
受信機程度ならシールドも比較的容易だが、SSB送信機となると生ずる電磁界の強度も上がるため、かなり本格的なシールドが必要になる。
アマチュアの間でポピュラーな終段管807は足も長くて動作安定性には難があり、ピース缶などでシールドすると共に終段回路全体は大きな板や網で覆うようにして電磁波の漏洩を防ぐのが常道だった。SSB送信機をオールバンドで作ろうとすると色々な発振に悩まされる。バンド切替スイッチは各段間でシールド板を立てて回り込みを防ぐが、スイッチの軸を通して前段に回り込みを起こしてしまう事などもザラであった。
各部品のグランド(接地)への落とし方は最重要で、これにより動作の安定性やノイズ特性が決まる。オーディオでは1点アースが基本だが高周波では部品のリード線を極力短くするために1点ではなく、多点の最短アースを行うがこれはグランドの中で迷流を生じてトラブルの1因となる。従って各増幅段毎に1点アースを守りつつ最短アースも守るという技が必要になる。これを体得するには多くの実製作経験と実験検証や失敗経験が必要だった。
その後、無線機の多くがメーカー製になったおかげでこのような取り組みは過去の話となり、今は安定な無線機を気楽に使える時代になった。しかしメーカー製であっても問題を起こすものはある。ここでは一例としてIC721で経験したトラブルとその解決事例について記す。
ある時、18MHzバンドで送信すると回り込みらしき不安定な状態が発生した。
アンテナを接続した状態で送信出力を上げていくとSWR≒1だったものが突然高いSWRを示した。直ぐには原因がわからないので散歩しながら考えた推定原因は、何らかの発振で、出力周波数が18MHzからずれた状態で送信されるためではないかということ。つまり18MHzで送信している状態ではアンテナとマッチングが取れているのでSWRは正常である。しかし周波数が突然別の周波数にジャンプすればアンテナの共振周波数と異なるからSWRが上昇する現象が説明できる。
そこで出力端子にオシロスコープを繋いで波形観測を行った。
18MHzCWモードで徐々に出力を上げていくと、40Wを出したところで5W位のパワー増が一時的に発生する。そのときのオシロ波形は、周波数が高いため見にくいが、明らかに歪があり、正弦波の波形から突然頂部が斜めに尖った感じの歪み波形に転じる。何らかの異常発振を起こしているようだ。これがSWR変化の原因と推定できる。そのあと、21MHz及び14MHzで同様なテストを試みたが発生なし。18MHzだけの現象のようだった。出力は40W程度が発生しやすく、18MHzの送信出力が突然19MHz辺りにジャンプする。
そこから出力を下げていくと正常に戻り、また40W以上に上げていくと正常化する。
以上の結果から次のような原因仮説が立てられる。
ある出力と周波数の条件でパワーユニットで寄生振動が発生する。この寄生振動は設定周波数とは異なっており、このためアンテナの共振域とずれてSWRは悪化する。
寄生振動は18メガバンドだけのようだが、18メガはBPFが本来21メガ用を共用している簡易的設計であるため、不安定になりやすいのかもしれない。ICOMのパワーユニット設計に問題があるのだろうが、経時的な劣化で基板やシールドの接触不良等が生じて不安定な回路になっている可能性がある。そこでパワーユニットのシールドやアース、接触面酸化などを調べてみることにした。
IC721のパワーユニットを分解した様子が上の画像で、右側がパワーユニット。この上に金属シールド板がねじ止めされて完全シールドする構造になっているがその部分は外した状態。シールド板のメッキを見ると長年を経て表面酸化が多いように見えた。そこでねじ止めする部分を中心に磨いて相手側との接触抵抗を下げることでシールド性を上げてみた。
シールド板をアルミダイカストのパワーユニットに強めのトルクでねじ止めして組み直して再度測定。
今度は18MHzで出力を上げて行っても寄生振動の発生は見られず、正常に動作するようになった。結局シールド板の接触抵抗が増えてパワーユニットのシールドBOX内のグランドに電位差や迷流が生じて電力増幅回路動作が不安定になっていたと考えられる。このような症状に遭遇したのは初めてで、高周波電力増幅回路の難しさを実感した。
ラジオ作りを始めた頃からノイズや発振に悩まされた。
古くは高1ラジオを作った頃。高1とは高周波増幅1段のストレートラジオのこと。
高周波増幅管6D6にはシールドケースを被せなければならないことやアンテナコイルとプレート側同調コイルとはシャーシの上側とシャーシ内側とに離して取り付けることで静電結合を防ぎ、又一方は立てて他方は寝かせるようにすることで磁力線を直交させて電磁的結合も防いだ。
受信機程度ならシールドも比較的容易だが、SSB送信機となると生ずる電磁界の強度も上がるため、かなり本格的なシールドが必要になる。
アマチュアの間でポピュラーな終段管807は足も長くて動作安定性には難があり、ピース缶などでシールドすると共に終段回路全体は大きな板や網で覆うようにして電磁波の漏洩を防ぐのが常道だった。SSB送信機をオールバンドで作ろうとすると色々な発振に悩まされる。バンド切替スイッチは各段間でシールド板を立てて回り込みを防ぐが、スイッチの軸を通して前段に回り込みを起こしてしまう事などもザラであった。
各部品のグランド(接地)への落とし方は最重要で、これにより動作の安定性やノイズ特性が決まる。オーディオでは1点アースが基本だが高周波では部品のリード線を極力短くするために1点ではなく、多点の最短アースを行うがこれはグランドの中で迷流を生じてトラブルの1因となる。従って各増幅段毎に1点アースを守りつつ最短アースも守るという技が必要になる。これを体得するには多くの実製作経験と実験検証や失敗経験が必要だった。
その後、無線機の多くがメーカー製になったおかげでこのような取り組みは過去の話となり、今は安定な無線機を気楽に使える時代になった。しかしメーカー製であっても問題を起こすものはある。ここでは一例としてIC721で経験したトラブルとその解決事例について記す。
ある時、18MHzバンドで送信すると回り込みらしき不安定な状態が発生した。
アンテナを接続した状態で送信出力を上げていくとSWR≒1だったものが突然高いSWRを示した。直ぐには原因がわからないので散歩しながら考えた推定原因は、何らかの発振で、出力周波数が18MHzからずれた状態で送信されるためではないかということ。つまり18MHzで送信している状態ではアンテナとマッチングが取れているのでSWRは正常である。しかし周波数が突然別の周波数にジャンプすればアンテナの共振周波数と異なるからSWRが上昇する現象が説明できる。
そこで出力端子にオシロスコープを繋いで波形観測を行った。
18MHzCWモードで徐々に出力を上げていくと、40Wを出したところで5W位のパワー増が一時的に発生する。そのときのオシロ波形は、周波数が高いため見にくいが、明らかに歪があり、正弦波の波形から突然頂部が斜めに尖った感じの歪み波形に転じる。何らかの異常発振を起こしているようだ。これがSWR変化の原因と推定できる。そのあと、21MHz及び14MHzで同様なテストを試みたが発生なし。18MHzだけの現象のようだった。出力は40W程度が発生しやすく、18MHzの送信出力が突然19MHz辺りにジャンプする。
そこから出力を下げていくと正常に戻り、また40W以上に上げていくと正常化する。
以上の結果から次のような原因仮説が立てられる。
ある出力と周波数の条件でパワーユニットで寄生振動が発生する。この寄生振動は設定周波数とは異なっており、このためアンテナの共振域とずれてSWRは悪化する。
寄生振動は18メガバンドだけのようだが、18メガはBPFが本来21メガ用を共用している簡易的設計であるため、不安定になりやすいのかもしれない。ICOMのパワーユニット設計に問題があるのだろうが、経時的な劣化で基板やシールドの接触不良等が生じて不安定な回路になっている可能性がある。そこでパワーユニットのシールドやアース、接触面酸化などを調べてみることにした。
IC721のパワーユニットを分解した様子が上の画像で、右側がパワーユニット。この上に金属シールド板がねじ止めされて完全シールドする構造になっているがその部分は外した状態。シールド板のメッキを見ると長年を経て表面酸化が多いように見えた。そこでねじ止めする部分を中心に磨いて相手側との接触抵抗を下げることでシールド性を上げてみた。
シールド板をアルミダイカストのパワーユニットに強めのトルクでねじ止めして組み直して再度測定。
今度は18MHzで出力を上げて行っても寄生振動の発生は見られず、正常に動作するようになった。結局シールド板の接触抵抗が増えてパワーユニットのシールドBOX内のグランドに電位差や迷流が生じて電力増幅回路動作が不安定になっていたと考えられる。このような症状に遭遇したのは初めてで、高周波電力増幅回路の難しさを実感した。
IC721の送信歪特性改良 ― 2025年02月04日
IC721という古いHF無線機がある。35年ほど前に購入した安物の機械。
回路はシンプルなアナログ機で基板も現代のような表面実装型ではなく、個々の部品をプリント基板に挿入し半田付けする古典的な構造だ。このため部品交換や改造がし易いし、故障しても修理が容易で気に入っている。これまで何度も故障したが自分で修理して現在も使用可能な状態にある。この無線機に自作のアナログインターフェースを取り付けてFT8を運用していたが、その送信信号をIC7300のオーディオスペクトラム表示でモニターしてみると重大な問題のあることに気が付いた。
低周波信号を入力すると2次3次の高調波が大きく、第2次高調波を見ると最大出力時―20dB程度にまで達する。1500Hz以上ならSSBフィルタの帯域は2400Hz程度なので第二高調波は3000Hz以上となって抑止できるが、例えば300Hz~1200Hzの入力だと第2高調波が600Hz~2400Hzに発生しフィルタは通過してしまう。結局周波数の低い領域で使うと帯域内スプリアスを発生させて他局に迷惑をかけることになる。
最新の無線機ではFT8の信号波生成をUSB接続のデジタル処理で行うため非常にクリーンで、このような問題は発生しなくなった。一方古い無線機でFT8を行う場合は、PCで生成したアナログのFT8低周波信号をSSB送信機のマイク入力に接続し、平衡変調を行ってDSB波形を生成したあとフィルタで片側波帯を切り落としてSSBを生成する。得られた信号は振幅変動のないFM波に近いものとなるため以降の増幅器が非線形であっても歪を生ずることはない。しかしその前段である平衡変調器までは振幅変調が行われるので回路に非線形性があると信号に歪を生ずる。つまり平衡変調器及びその前段の低周波増幅器までの回路に非線形性があると信号に歪が発生する。これが第2第3高調波歪として現れる。IC721でも歪を発生させているのはマイクアンプと平衡変調器のいずれか又は両方が考えられる。
IC721は元々スピーチコンプレッサのような積極的に歪を生じさせる回路はないので歪の発生源は限られる。以前マイク入力部にダイオードクリッパを付加したことがあるが、これはFT8の信号入力回路には存在しないので問題はない。
どこで歪が生じているのかを調べるのも良いが、FT8低周波のレベルと高調波レベルとの関係を観測してみると、あるレベルから急に歪が増大していることが判った。つまり低周波回路から平衡変調器までのどこかがオーバーレベルで飽和することが原因と推定できる。ならば入力レベルを下げて歪発生を最小にし、そのレベルを下げた分、後段でゲインを上げて補えば良いことになる。
このような方針を立てて回路を調べて行くと後段の高周波増幅回路部にレベル調整用のポテンシオメータR85があることが判った。R85のレベルを上げてその分低周波入力を下げてみると、期待通り歪が低減し、高調波レベルの下がることが確認できた。IC7300のオーディオスペクトラムモニターで確認しながらレベル調整し、出力最大時でも第二高調波レベルを-40dB以下まで下げることが出来た。但し変調度はかなり下がっているので今度はSSBのキャリア漏れが懸念されるがキャリア漏れも-40dB以下であることが確認できた。恐らく昔のSSB送信機はオーディオ信号の変調歪があってもフィルターで切れると考えてあまりレベル配分を気にしてはいなかったのだろう。この報告は昔の無線機でFT8を運用する場合の参考になればと思う。
これでIC721でも問題なくFT8の運用ができることになったが、SSBの音声でも歪が低減して良好になった。
回路はシンプルなアナログ機で基板も現代のような表面実装型ではなく、個々の部品をプリント基板に挿入し半田付けする古典的な構造だ。このため部品交換や改造がし易いし、故障しても修理が容易で気に入っている。これまで何度も故障したが自分で修理して現在も使用可能な状態にある。この無線機に自作のアナログインターフェースを取り付けてFT8を運用していたが、その送信信号をIC7300のオーディオスペクトラム表示でモニターしてみると重大な問題のあることに気が付いた。
低周波信号を入力すると2次3次の高調波が大きく、第2次高調波を見ると最大出力時―20dB程度にまで達する。1500Hz以上ならSSBフィルタの帯域は2400Hz程度なので第二高調波は3000Hz以上となって抑止できるが、例えば300Hz~1200Hzの入力だと第2高調波が600Hz~2400Hzに発生しフィルタは通過してしまう。結局周波数の低い領域で使うと帯域内スプリアスを発生させて他局に迷惑をかけることになる。
最新の無線機ではFT8の信号波生成をUSB接続のデジタル処理で行うため非常にクリーンで、このような問題は発生しなくなった。一方古い無線機でFT8を行う場合は、PCで生成したアナログのFT8低周波信号をSSB送信機のマイク入力に接続し、平衡変調を行ってDSB波形を生成したあとフィルタで片側波帯を切り落としてSSBを生成する。得られた信号は振幅変動のないFM波に近いものとなるため以降の増幅器が非線形であっても歪を生ずることはない。しかしその前段である平衡変調器までは振幅変調が行われるので回路に非線形性があると信号に歪を生ずる。つまり平衡変調器及びその前段の低周波増幅器までの回路に非線形性があると信号に歪が発生する。これが第2第3高調波歪として現れる。IC721でも歪を発生させているのはマイクアンプと平衡変調器のいずれか又は両方が考えられる。
IC721は元々スピーチコンプレッサのような積極的に歪を生じさせる回路はないので歪の発生源は限られる。以前マイク入力部にダイオードクリッパを付加したことがあるが、これはFT8の信号入力回路には存在しないので問題はない。
どこで歪が生じているのかを調べるのも良いが、FT8低周波のレベルと高調波レベルとの関係を観測してみると、あるレベルから急に歪が増大していることが判った。つまり低周波回路から平衡変調器までのどこかがオーバーレベルで飽和することが原因と推定できる。ならば入力レベルを下げて歪発生を最小にし、そのレベルを下げた分、後段でゲインを上げて補えば良いことになる。
このような方針を立てて回路を調べて行くと後段の高周波増幅回路部にレベル調整用のポテンシオメータR85があることが判った。R85のレベルを上げてその分低周波入力を下げてみると、期待通り歪が低減し、高調波レベルの下がることが確認できた。IC7300のオーディオスペクトラムモニターで確認しながらレベル調整し、出力最大時でも第二高調波レベルを-40dB以下まで下げることが出来た。但し変調度はかなり下がっているので今度はSSBのキャリア漏れが懸念されるがキャリア漏れも-40dB以下であることが確認できた。恐らく昔のSSB送信機はオーディオ信号の変調歪があってもフィルターで切れると考えてあまりレベル配分を気にしてはいなかったのだろう。この報告は昔の無線機でFT8を運用する場合の参考になればと思う。
これでIC721でも問題なくFT8の運用ができることになったが、SSBの音声でも歪が低減して良好になった。
ベトナム(続き) ― 2025年01月29日

昨日ベトナム戦争について書いた後、当時ベトナムからSWLカード(こちらの無線信号を受信しましたという受信カード)をもらったのを思い出した。
小一時間手元のカードを引っ掻き回してやっと探し出すことができた。
VIETNAM CONG HOA とある。これはベトナム共和国の正式名称で所謂南ベトナムのこと。
日時は1968年6月8日1537GMTと記されている。1968年はベトナム戦争の一番激しい時期だった。受信者は南ベトナムに送られていたアーカンソー出身のアメリカ人兵らしい。
休憩時間に短波を聴いていたのだろう。
当時はもちろんベトナムでアマチュア無線は許可されておらず、受信のみが許されていたようだ。受信機はドレーク2Bでアンテナは30フィート長のワイヤーとある。
この人はアメリカのW5-10353というSWLナンバーを持っていて母国では短波受信が趣味だったようだ。QSLカードをアーカンソーの自宅に送ってくれとある。その後無事に自宅に戻れただろうか。
当時は私も竹で作った貧弱なキュビカルクワッドアンテナで21MHzに出ており、やっと海外まで電波が飛ぶようになった頃だ。
ベトナムは長くアマチュア無線が禁止されていたが、復興後は許可されて運用局も増えている。
小一時間手元のカードを引っ掻き回してやっと探し出すことができた。
VIETNAM CONG HOA とある。これはベトナム共和国の正式名称で所謂南ベトナムのこと。
日時は1968年6月8日1537GMTと記されている。1968年はベトナム戦争の一番激しい時期だった。受信者は南ベトナムに送られていたアーカンソー出身のアメリカ人兵らしい。
休憩時間に短波を聴いていたのだろう。
当時はもちろんベトナムでアマチュア無線は許可されておらず、受信のみが許されていたようだ。受信機はドレーク2Bでアンテナは30フィート長のワイヤーとある。
この人はアメリカのW5-10353というSWLナンバーを持っていて母国では短波受信が趣味だったようだ。QSLカードをアーカンソーの自宅に送ってくれとある。その後無事に自宅に戻れただろうか。
当時は私も竹で作った貧弱なキュビカルクワッドアンテナで21MHzに出ており、やっと海外まで電波が飛ぶようになった頃だ。
ベトナムは長くアマチュア無線が禁止されていたが、復興後は許可されて運用局も増えている。
IC7300のALC ― 2025年01月20日
IC7300のALC
250120
IC7300でSSBを運用して感じることは、どうも平均出力が小さいのではないかという点。
もちろん、音声信号波形のピーク値(尖頭値)と平均値は10dB以上の開きがあって、平均出力電力が10%位であってもピーク電力は100%位出ているということは承知している。この平均出力を上げるには音声信号を圧縮して平均値を上げることであるが、IC7300の場合はスピーチコンプレッサ(音声信号圧縮器)を動作させてもそれほど平均出力が増加しない。最初は7300のスピーチコンプレッサが悪いのかと思い、色々設定を変えたりしてみたが改善されないので、もしかするとALC(Automatic Level Control:送信機の出力自動制御)の問題か?と思い当たった。
ALCは送信信号の出力レベルを規制する装置で、通常送信機の出力を検出して設定値以上になると途中増幅段のゲインをフィードバック制御して一定値内に抑え込む機能を有する。
しかし、SSBのエンベロープ(包絡線)波形は元の音声信号波形に対応していてピークと平均の値差が大きく、エンベロープのピークで出力を抑え込んでしまうと平均出力も出なくなってしまうという問題がある。
この問題は昔から議論されていて、古くは1968年頃、増幅型ALCというものが登場して、ケンウッド(当時はトリオ)のSSB送信機に採用された。これによりSSBの信号波形は綺麗になって帯域外までスプラッターが拡がるという問題も無くなった。しかしこのために送信出力の平均値も大きく下がってどうも信号が弱いという問題が顕著になった。当時、トリオと競合していた八重洲無線のSSB送信機は一部を除き、増幅型ALCは採用せず、旧来の整流型ALCに拘っていた。その理由は増幅型ALCは尖頭値で動作するものであるのに対し、整流型ALCは平均値で動作するものであったことによる。整流型ALCの原理は、送信機の終段管のコントロールグリッドがオーバードライブになってグリッド電流が流れだすとこのグリッド電流の交流分を検出して整流し、直流電圧を生成して途中増幅段の増幅度を下げるようにフィードバックする構造である。単なる整流回路で直流化してそれをCとRで構成する時定数回路で受けるため、サージ的なピーク電圧ではなく、出力の平均値変動に比例する平均値電圧となる。このため音声のピークではなく平均値に対してALCがかかるから結果として平均値をある程度上げることが可能であった。但しこのため、波形に歪が生じやすく、SSBの信号波形歪も若干増えて帯域外まで広がるスプラッターも増えることになる。当時の有名なALC論争ではトリオの増幅型ALCか八重洲の平均値ALCかが議論の一つになった。波形の上からは増幅型ALCが望ましいが、平均出力の点では平均値ALCのほうがトークパワーが高く取れる。八重洲無線は終段管のグリッド電流を全く流さないようにすることよりも、多少グリッド電流が流れてもその動作点まである程度の直線性を維持することで整流型平均値ALCを採用し、帯域外のスプラッターを許容値内に収めながら平均出力も高く維持するという実用的な方法を選択した。当時は八重洲無線がSSB技術で長じており、その論理が実用的であるようだった。
なぜこのような古い話を挙げたかというと、現在でも状況があまり変わっていないからである。
IC7300のALCは1968年当時のトリオの送信機と同様にピークを抑え込む尖頭値ALCであり、平均出力が低いのも同様である。
IC7300のALCはある意味優秀で、どんなに短いサージやピークでも完全に抑え込みを行う。この抑え込み電圧は発生後ある時間維持されてその間は送信出力が低下する。従って音声のピークのあとのエンベロープは低い振幅のままに抑えられるから平均値全体が低くなってしまう。つまりALCと言っても、音声のピークで出力レベル設定値を超えないようにレベル制限するだけで信号全体が低いレベルに抑え込まれるだけのものとなる。
これを解決するには瞬時のサージは無視するような時定数のALCにするしかない。そうすると今度は瞬時のサージが大きくなって波形歪の原因になるから、サージの抑え込みと平均値確保の両面を満足するような妥協値を見出すのがベストだろう。
この問題は以前も当ブログでIC7300の受信AGCの応答性の問題として挙げているが両方共本質的には同じ問題である。
一番望ましいのはスピーチプロセッサでサージを除いた圧縮度の高い音声エンベロープ波形を生成することかもしれない。
この問題についてネットを調べてみたが、ポーランドのSP3RNZのブログにALCの応答性を悪くする解決策があったので付しておく(#1)。
この種の改造は技適から外れる恐れと余計なスプリアスを生ずる恐れもあるので実行は勧められない。
参考文献
#1 Icom IC7300 average power MOD
https://sp3rnz.blogspot.com/2017/01/icom-ic-7300-ssb-power-mod.html
250120
IC7300でSSBを運用して感じることは、どうも平均出力が小さいのではないかという点。
もちろん、音声信号波形のピーク値(尖頭値)と平均値は10dB以上の開きがあって、平均出力電力が10%位であってもピーク電力は100%位出ているということは承知している。この平均出力を上げるには音声信号を圧縮して平均値を上げることであるが、IC7300の場合はスピーチコンプレッサ(音声信号圧縮器)を動作させてもそれほど平均出力が増加しない。最初は7300のスピーチコンプレッサが悪いのかと思い、色々設定を変えたりしてみたが改善されないので、もしかするとALC(Automatic Level Control:送信機の出力自動制御)の問題か?と思い当たった。
ALCは送信信号の出力レベルを規制する装置で、通常送信機の出力を検出して設定値以上になると途中増幅段のゲインをフィードバック制御して一定値内に抑え込む機能を有する。
しかし、SSBのエンベロープ(包絡線)波形は元の音声信号波形に対応していてピークと平均の値差が大きく、エンベロープのピークで出力を抑え込んでしまうと平均出力も出なくなってしまうという問題がある。
この問題は昔から議論されていて、古くは1968年頃、増幅型ALCというものが登場して、ケンウッド(当時はトリオ)のSSB送信機に採用された。これによりSSBの信号波形は綺麗になって帯域外までスプラッターが拡がるという問題も無くなった。しかしこのために送信出力の平均値も大きく下がってどうも信号が弱いという問題が顕著になった。当時、トリオと競合していた八重洲無線のSSB送信機は一部を除き、増幅型ALCは採用せず、旧来の整流型ALCに拘っていた。その理由は増幅型ALCは尖頭値で動作するものであるのに対し、整流型ALCは平均値で動作するものであったことによる。整流型ALCの原理は、送信機の終段管のコントロールグリッドがオーバードライブになってグリッド電流が流れだすとこのグリッド電流の交流分を検出して整流し、直流電圧を生成して途中増幅段の増幅度を下げるようにフィードバックする構造である。単なる整流回路で直流化してそれをCとRで構成する時定数回路で受けるため、サージ的なピーク電圧ではなく、出力の平均値変動に比例する平均値電圧となる。このため音声のピークではなく平均値に対してALCがかかるから結果として平均値をある程度上げることが可能であった。但しこのため、波形に歪が生じやすく、SSBの信号波形歪も若干増えて帯域外まで広がるスプラッターも増えることになる。当時の有名なALC論争ではトリオの増幅型ALCか八重洲の平均値ALCかが議論の一つになった。波形の上からは増幅型ALCが望ましいが、平均出力の点では平均値ALCのほうがトークパワーが高く取れる。八重洲無線は終段管のグリッド電流を全く流さないようにすることよりも、多少グリッド電流が流れてもその動作点まである程度の直線性を維持することで整流型平均値ALCを採用し、帯域外のスプラッターを許容値内に収めながら平均出力も高く維持するという実用的な方法を選択した。当時は八重洲無線がSSB技術で長じており、その論理が実用的であるようだった。
なぜこのような古い話を挙げたかというと、現在でも状況があまり変わっていないからである。
IC7300のALCは1968年当時のトリオの送信機と同様にピークを抑え込む尖頭値ALCであり、平均出力が低いのも同様である。
IC7300のALCはある意味優秀で、どんなに短いサージやピークでも完全に抑え込みを行う。この抑え込み電圧は発生後ある時間維持されてその間は送信出力が低下する。従って音声のピークのあとのエンベロープは低い振幅のままに抑えられるから平均値全体が低くなってしまう。つまりALCと言っても、音声のピークで出力レベル設定値を超えないようにレベル制限するだけで信号全体が低いレベルに抑え込まれるだけのものとなる。
これを解決するには瞬時のサージは無視するような時定数のALCにするしかない。そうすると今度は瞬時のサージが大きくなって波形歪の原因になるから、サージの抑え込みと平均値確保の両面を満足するような妥協値を見出すのがベストだろう。
この問題は以前も当ブログでIC7300の受信AGCの応答性の問題として挙げているが両方共本質的には同じ問題である。
一番望ましいのはスピーチプロセッサでサージを除いた圧縮度の高い音声エンベロープ波形を生成することかもしれない。
この問題についてネットを調べてみたが、ポーランドのSP3RNZのブログにALCの応答性を悪くする解決策があったので付しておく(#1)。
この種の改造は技適から外れる恐れと余計なスプリアスを生ずる恐れもあるので実行は勧められない。
参考文献
#1 Icom IC7300 average power MOD
https://sp3rnz.blogspot.com/2017/01/icom-ic-7300-ssb-power-mod.html
10月の太陽活動状況 ― 2024年10月07日
10月の太陽活動は非常に活発で、10月1日22時UTC頃にX7.1のフレアが発生。
次いで10月3日12時UTC頃には近年最大級のX9.0フレアが発生した。
太陽のフレア爆発で磁化したプラズマが太陽から宇宙空間へ噴出する現象が起こり、これをコロナ質量放出 Coronal Mass Ejection(CME)という。CMEで放出される粒子は質量があるので電磁波の到達速度よりも大幅に遅く、惑星間磁場に沿って2日から5日程度で地球へ到達し、地球磁場を乱して磁気嵐を発生させる。
3日のX9.0という大規模なフレアで、数日後には猛烈な磁気嵐が発生して国内でもオーロラが見られるかと期待もされた。しかしフレア爆発から4日近く経過した現在、磁場の乱れは始まったものの予想より大分控えめなK指数4~5(K指数は磁場の3時間毎の乱れを表す指数で4~5は地磁気がやや乱れている~乱れている)に収まっている。
今回はフレアの規模の割に地球磁場への影響は少なそうだ。その特異性については今後研究機関からの発表を待ちたい。この結果北海道辺りでのオーロラは期待できないが、電波伝播への影響も少なく良い伝播状態が継続していた。
一方、太陽活動サイクル25の黒点数移動平均値は順調に上昇を続けて、今年の10月頃が最高の165程度と予想されている。今年の4月本ブログで2023年6月以降徐々に減少に向かっていてその後再び上昇する双峰特性になる可能性があると書いた。実際は23年10月頃まで僅か下降傾向の後再び上昇に転じており、双峰特性よりもむしろ単峰特性に近いかもしれない。これは太陽の北半球を流動するダイナモ構造と南半球を流動するダイナモ構造の活動位相差が少ないために互いに強め合い、黒点数ピーク値を押し上げているように見える。この黒点数の上昇傾向も今年10月頃で頭打ちになってその後下降に向かう可能性が高いが移動平均値なので半年経ってみないと確定しない。
サイクル25は上図#1に示すように近年最低のサイクル24の120を上回ってサイクル23の180には及ばないものの160以上の移動平均値が予測される比較的良好な活動サイクルに確定しそうである。しかし電波伝播の点では本サイクルは地磁気の乱れやデリンジャー現象の頻度が高く、黒点数の割に期待外れなところのある伝播状態という見方も出来そうだ。
#1: Solar Terrestrial Activity Report , oct2024
次いで10月3日12時UTC頃には近年最大級のX9.0フレアが発生した。
太陽のフレア爆発で磁化したプラズマが太陽から宇宙空間へ噴出する現象が起こり、これをコロナ質量放出 Coronal Mass Ejection(CME)という。CMEで放出される粒子は質量があるので電磁波の到達速度よりも大幅に遅く、惑星間磁場に沿って2日から5日程度で地球へ到達し、地球磁場を乱して磁気嵐を発生させる。
3日のX9.0という大規模なフレアで、数日後には猛烈な磁気嵐が発生して国内でもオーロラが見られるかと期待もされた。しかしフレア爆発から4日近く経過した現在、磁場の乱れは始まったものの予想より大分控えめなK指数4~5(K指数は磁場の3時間毎の乱れを表す指数で4~5は地磁気がやや乱れている~乱れている)に収まっている。
今回はフレアの規模の割に地球磁場への影響は少なそうだ。その特異性については今後研究機関からの発表を待ちたい。この結果北海道辺りでのオーロラは期待できないが、電波伝播への影響も少なく良い伝播状態が継続していた。
一方、太陽活動サイクル25の黒点数移動平均値は順調に上昇を続けて、今年の10月頃が最高の165程度と予想されている。今年の4月本ブログで2023年6月以降徐々に減少に向かっていてその後再び上昇する双峰特性になる可能性があると書いた。実際は23年10月頃まで僅か下降傾向の後再び上昇に転じており、双峰特性よりもむしろ単峰特性に近いかもしれない。これは太陽の北半球を流動するダイナモ構造と南半球を流動するダイナモ構造の活動位相差が少ないために互いに強め合い、黒点数ピーク値を押し上げているように見える。この黒点数の上昇傾向も今年10月頃で頭打ちになってその後下降に向かう可能性が高いが移動平均値なので半年経ってみないと確定しない。
サイクル25は上図#1に示すように近年最低のサイクル24の120を上回ってサイクル23の180には及ばないものの160以上の移動平均値が予測される比較的良好な活動サイクルに確定しそうである。しかし電波伝播の点では本サイクルは地磁気の乱れやデリンジャー現象の頻度が高く、黒点数の割に期待外れなところのある伝播状態という見方も出来そうだ。
#1: Solar Terrestrial Activity Report , oct2024
アンテナローテータの交換工事 ― 2024年04月24日

昨年8月にアンテナのローテーター江本1200FXが回らなくなった。電圧や抵抗値をチェックした結果異常はなく、ローテータ本体の機械的故障と推定された。FTIに連絡を取ったが発電関係の仕事で忙しいらしくアマチュアのアンテナ工事は対応できないようだった。自分で何とか交換できないか机上検討してみたがアンテナとマストの総重量を持ち上げるような手段がなく無理と結論。昔は自分でローテータ交換したものだが今の自分の歳ではもう不可能に近いと諦めていた。
その後、JH1OCCからFTIがアマチュア対応を再開したと聞いたので早速工事を再依頼した結果引き受けてもらえた。故障したローテータ1200FXは現存製品では1200SAというタイプに変わっていたが本体は同一でコントローラのみが異なるとのこと。結局本日4月24日午前中栃木での別の工事の後、午後に3名で来てくれた。あいにく雨の悪コンディションの中ながら頑張ってくれて、およそ1時間程度でローテータを新品の1200SAに交換完了。無事にアンテナをまた回せるようになった。コントローラはこれまで使用していたものがそのまま使えたので新しい方は予備として保管。
ローテータは長年強風による繰り返しトルクを受けて内部の歯車が摩耗故障して齧り、ロックしたようだ。大昔のローテータの良い物は鍛造の焼き入れ一体歯車を使っていて非常に頑強だったが、今はコスト低減でプレスした歯車を重ね合わせて使っているものが多いようで寿命はかなり低下しているのが残念だ。対策としては、やはり強風時は風の吹く正面方向にアンテナを向けるようにして風によるトルクを最小化するように使うくらいのことしか無さそうだ。
その後、JH1OCCからFTIがアマチュア対応を再開したと聞いたので早速工事を再依頼した結果引き受けてもらえた。故障したローテータ1200FXは現存製品では1200SAというタイプに変わっていたが本体は同一でコントローラのみが異なるとのこと。結局本日4月24日午前中栃木での別の工事の後、午後に3名で来てくれた。あいにく雨の悪コンディションの中ながら頑張ってくれて、およそ1時間程度でローテータを新品の1200SAに交換完了。無事にアンテナをまた回せるようになった。コントローラはこれまで使用していたものがそのまま使えたので新しい方は予備として保管。
ローテータは長年強風による繰り返しトルクを受けて内部の歯車が摩耗故障して齧り、ロックしたようだ。大昔のローテータの良い物は鍛造の焼き入れ一体歯車を使っていて非常に頑強だったが、今はコスト低減でプレスした歯車を重ね合わせて使っているものが多いようで寿命はかなり低下しているのが残念だ。対策としては、やはり強風時は風の吹く正面方向にアンテナを向けるようにして風によるトルクを最小化するように使うくらいのことしか無さそうだ。
太陽活動状況 ― 2024年04月12日
太陽活動サイクル25の黒点数移動平均値は2023年6月に極大値125に達した後徐々に減少しつつあり、24年4月の予測移動平均値は115である。太陽内部の対流層のプラズマ流は太陽の北半球と南半球で夫々独立した流れを生じているが、両者の位相はここ数サイクルでずれが生じており、黒点数のピークは双峰特性になっている。このため今サイクルでももう一度上昇に転じて2回目のピークが現れる可能性はあるが、まだ予測は不能である。
サイクル24の黒点数移動平均ピークは約118だから今サイクルの方が活動度は上がっている。しかしその前のサイクル23、22,21は夫々約180、210,230と大幅に高かった。この約50年間の太陽活動の連続的な低下はサイクル24を極小として収まりそうに見えるが、サイクル25も僅か上昇しているだけで極小状態から抜け出せたと言える確証はない。この低迷状態が更に続けば温暖化ガスによる温室効果よりも太陽活動低下による寒冷化が上回る可能性もある。気温は年々上昇しているので勘違いする人も多いだろうが、これは温暖化よりも、都市化によって排熱が増加したり地表の土や緑減少により気温が上昇している割合が多いと見るべきだろう。
短波帯の遠距離通信は太陽黒点サイクルによって左右され、このところ比較的良い伝播状況に恵まれてきた。今後も暫くは良い伝播状況が続く見込みなので高齢者の無線家は最後のチャンスと考えてサイクル25の残りを味わう必要がある。
サイクル24の黒点数移動平均ピークは約118だから今サイクルの方が活動度は上がっている。しかしその前のサイクル23、22,21は夫々約180、210,230と大幅に高かった。この約50年間の太陽活動の連続的な低下はサイクル24を極小として収まりそうに見えるが、サイクル25も僅か上昇しているだけで極小状態から抜け出せたと言える確証はない。この低迷状態が更に続けば温暖化ガスによる温室効果よりも太陽活動低下による寒冷化が上回る可能性もある。気温は年々上昇しているので勘違いする人も多いだろうが、これは温暖化よりも、都市化によって排熱が増加したり地表の土や緑減少により気温が上昇している割合が多いと見るべきだろう。
短波帯の遠距離通信は太陽黒点サイクルによって左右され、このところ比較的良い伝播状況に恵まれてきた。今後も暫くは良い伝播状況が続く見込みなので高齢者の無線家は最後のチャンスと考えてサイクル25の残りを味わう必要がある。
謎の現象 ― 2024年04月01日
IC721とIC7300の両方を一つのPCでFT8が運用できるように設定しているが、不可解な問題が生じた。IC721をSSBで送信すると信号が非常に歪んだ音になるのだ。
IC721のFT8はアナログの自作インターフェースであり、受信音出力と変調音入力とをPCのアナログオーディオ入出力端子に接続している。一方IC7300はUSBケーブルでPCとスマートに接続してUSB Audio Codecにより処理をするだけである。当初どちらからも使えるようにしていたのだが、FT8用の接続のままSSBモードで送信音声のモニターをしてみるとIC721の変調信号が歪んでいる。
このとき、IC7300にはDC13.8Vを通電していたが本体の電源スイッチはオフなのでIC7300側の影響はない筈と考えていた。だが試しにUSBケーブルを抜いてみたら歪は消えて綺麗な送信音に戻った。このことから電源スイッチオフでもIC7300の一部の回路には通電していてUSB回路から何らかのノイズが出ており、それがPCに回り込んでいると考えられた。フェライトコアにUSBケーブルを数回巻いてコモンモードノイズ防止をしてみたが全く効果なし。なので高周波の回り込みではなく、USB回路からのノーマルノイズによるものと思われた。
次にIC721のFT8インターフェースの変調入力を切り離してみても歪は発生しなくなった。このことからノイズはIC721のFT8アナログインターフェースを経由してIC721の変調入力回路に加わり、SSBの音声信号と重畳してSSB音を歪ませることがわかった。
結局、トラブルの元は2台のトランシーバを一つのPCで共用しようとした点にあった。しかもIC7300にはDC13.8Vが常時加わっていて本体の電源スイッチを切っても一部の回路が作動状態にあることを見落としていた。またUSBのデジタル系とPCオーディオのアナログ系の回路は互いに完全独立ではなく信号の流出/流入が生じていることが問題をややこしくしたようだ。
対策としてはIC7300→USBケーブル→PC→IC721用FT8アナログインターフェース→IC721の変調入力回路 のどこかを完全遮断することで解決する。
今回は妙な共用回路を形成すると厄介なトラブルに見舞われるという教訓が得られた。
このような変なことをする人はほかに居ないだろうから今回の経験はあまり役に立たない話かもしれないが。
IC721のFT8はアナログの自作インターフェースであり、受信音出力と変調音入力とをPCのアナログオーディオ入出力端子に接続している。一方IC7300はUSBケーブルでPCとスマートに接続してUSB Audio Codecにより処理をするだけである。当初どちらからも使えるようにしていたのだが、FT8用の接続のままSSBモードで送信音声のモニターをしてみるとIC721の変調信号が歪んでいる。
このとき、IC7300にはDC13.8Vを通電していたが本体の電源スイッチはオフなのでIC7300側の影響はない筈と考えていた。だが試しにUSBケーブルを抜いてみたら歪は消えて綺麗な送信音に戻った。このことから電源スイッチオフでもIC7300の一部の回路には通電していてUSB回路から何らかのノイズが出ており、それがPCに回り込んでいると考えられた。フェライトコアにUSBケーブルを数回巻いてコモンモードノイズ防止をしてみたが全く効果なし。なので高周波の回り込みではなく、USB回路からのノーマルノイズによるものと思われた。
次にIC721のFT8インターフェースの変調入力を切り離してみても歪は発生しなくなった。このことからノイズはIC721のFT8アナログインターフェースを経由してIC721の変調入力回路に加わり、SSBの音声信号と重畳してSSB音を歪ませることがわかった。
結局、トラブルの元は2台のトランシーバを一つのPCで共用しようとした点にあった。しかもIC7300にはDC13.8Vが常時加わっていて本体の電源スイッチを切っても一部の回路が作動状態にあることを見落としていた。またUSBのデジタル系とPCオーディオのアナログ系の回路は互いに完全独立ではなく信号の流出/流入が生じていることが問題をややこしくしたようだ。
対策としてはIC7300→USBケーブル→PC→IC721用FT8アナログインターフェース→IC721の変調入力回路 のどこかを完全遮断することで解決する。
今回は妙な共用回路を形成すると厄介なトラブルに見舞われるという教訓が得られた。
このような変なことをする人はほかに居ないだろうから今回の経験はあまり役に立たない話かもしれないが。
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