謎の現象2024年04月01日

IC721とIC7300の両方を一つのPCでFT8が運用できるように設定しているが、不可解な問題が生じた。IC721をSSBで送信すると信号が非常に歪んだ音になるのだ。
IC721のFT8はアナログの自作インターフェースであり、受信音出力と変調音入力とをPCのアナログオーディオ入出力端子に接続している。一方IC7300はUSBケーブルでPCとスマートに接続してUSB Audio Codecにより処理をするだけである。当初どちらからも使えるようにしていたのだが、FT8用の接続のままSSBモードで送信音声のモニターをしてみるとIC721の変調信号が歪んでいる。
このとき、IC7300にはDC13.8Vを通電していたが本体の電源スイッチはオフなのでIC7300側の影響はない筈と考えていた。だが試しにUSBケーブルを抜いてみたら歪は消えて綺麗な送信音に戻った。このことから電源スイッチオフでもIC7300の一部の回路には通電していてUSB回路から何らかのノイズが出ており、それがPCに回り込んでいると考えられた。フェライトコアにUSBケーブルを数回巻いてコモンモードノイズ防止をしてみたが全く効果なし。なので高周波の回り込みではなく、USB回路からのノーマルノイズによるものと思われた。
次にIC721のFT8インターフェースの変調入力を切り離してみても歪は発生しなくなった。このことからノイズはIC721のFT8アナログインターフェースを経由してIC721の変調入力回路に加わり、SSBの音声信号と重畳してSSB音を歪ませることがわかった。
結局、トラブルの元は2台のトランシーバを一つのPCで共用しようとした点にあった。しかもIC7300にはDC13.8Vが常時加わっていて本体の電源スイッチを切っても一部の回路が作動状態にあることを見落としていた。またUSBのデジタル系とPCオーディオのアナログ系の回路は互いに完全独立ではなく信号の流出/流入が生じていることが問題をややこしくしたようだ。
対策としてはIC7300→USBケーブル→PC→IC721用FT8アナログインターフェース→IC721の変調入力回路 のどこかを完全遮断することで解決する。
今回は妙な共用回路を形成すると厄介なトラブルに見舞われるという教訓が得られた。
このような変なことをする人はほかに居ないだろうから今回の経験はあまり役に立たない話かもしれないが。

太陽活動状況2024年04月12日

太陽活動サイクル25の黒点数移動平均値は2023年6月に極大値125に達した後徐々に減少しつつあり、24年4月の予測移動平均値は115である。太陽内部の対流層のプラズマ流は太陽の北半球と南半球で夫々独立した流れを生じているが、両者の位相はここ数サイクルでずれが生じており、黒点数のピークは双峰特性になっている。このため今サイクルでももう一度上昇に転じて2回目のピークが現れる可能性はあるが、まだ予測は不能である。
サイクル24の黒点数移動平均ピークは約118だから今サイクルの方が活動度は上がっている。しかしその前のサイクル23、22,21は夫々約180、210,230と大幅に高かった。この約50年間の太陽活動の連続的な低下はサイクル24を極小として収まりそうに見えるが、サイクル25も僅か上昇しているだけで極小状態から抜け出せたと言える確証はない。この低迷状態が更に続けば温暖化ガスによる温室効果よりも太陽活動低下による寒冷化が上回る可能性もある。気温は年々上昇しているので勘違いする人も多いだろうが、これは温暖化よりも、都市化によって排熱が増加したり地表の土や緑減少により気温が上昇している割合が多いと見るべきだろう。
短波帯の遠距離通信は太陽黒点サイクルによって左右され、このところ比較的良い伝播状況に恵まれてきた。今後も暫くは良い伝播状況が続く見込みなので高齢者の無線家は最後のチャンスと考えてサイクル25の残りを味わう必要がある。

アンテナローテータの交換工事2024年04月24日

昨年8月にアンテナのローテーター江本1200FXが回らなくなった。電圧や抵抗値をチェックした結果異常はなく、ローテータ本体の機械的故障と推定された。FTIに連絡を取ったが発電関係の仕事で忙しいらしくアマチュアのアンテナ工事は対応できないようだった。自分で何とか交換できないか机上検討してみたがアンテナとマストの総重量を持ち上げるような手段がなく無理と結論。昔は自分でローテータ交換したものだが今の自分の歳ではもう不可能に近いと諦めていた。
その後、JH1OCCからFTIがアマチュア対応を再開したと聞いたので早速工事を再依頼した結果引き受けてもらえた。故障したローテータ1200FXは現存製品では1200SAというタイプに変わっていたが本体は同一でコントローラのみが異なるとのこと。結局本日4月24日午前中栃木での別の工事の後、午後に3名で来てくれた。あいにく雨の悪コンディションの中ながら頑張ってくれて、およそ1時間程度でローテータを新品の1200SAに交換完了。無事にアンテナをまた回せるようになった。コントローラはこれまで使用していたものがそのまま使えたので新しい方は予備として保管。
ローテータは長年強風による繰り返しトルクを受けて内部の歯車が摩耗故障して齧り、ロックしたようだ。大昔のローテータの良い物は鍛造の焼き入れ一体歯車を使っていて非常に頑強だったが、今はコスト低減でプレスした歯車を重ね合わせて使っているものが多いようで寿命はかなり低下しているのが残念だ。対策としては、やはり強風時は風の吹く正面方向にアンテナを向けるようにして風によるトルクを最小化するように使うくらいのことしか無さそうだ。