FT1021Xがついにご臨終2022年09月05日

8月18日に30年間愛用してきたFT1021Xが突然送信不能になった。調べてみると最大出力200Wのところが5W程度までしか出なくなっていた。このところ高温環境なのに最大出力でFT8の運用を続けていたのでさすがに使い方が過酷過ぎたようだ。故障発生の可能性が一番高いのは電力増幅ユニットである。ユニットを外して基板を目視した限りでは部品の焼損などは認められず特に異常な部分は観察できなかった。そこでまずは問題発生個所を切り分けるため、電力増幅ユニットの信号入力部を外してその前段からのドライブ電圧を測定すると47Ω負荷で最大0.5Vp程度ある。電力換算で約5mWになる。
一方送信電力増幅ユニットは終段MRF422プッシュプル、ドライバーMRF486プッシュプル、プリドライバー2SC2166の3段構成になっている。総合ゲインは30数dB~40dB程度予想されるので入力電力5mWは十分なのか不十分なのか微妙だ。メーカーのレベルダイヤグラムが手に入らないので電力増幅ユニットが悪いのかそれより前段が悪いのかこのままでは識別ができない。このため、電力増幅ユニットの入力部にQRPトランシーバFT817の14MHzSSB出力を注入してみることにした。FT817なら最小でも100mWくらいは楽に出せるので入力レベルとしては十分である。これで電力増幅ユニットが正常なら200Wの出力は得られる筈であるが、結果はやはり5W程度しか得られなかった。このことから電力増幅ユニットのトランジスタが破損している可能性が高いと考えられる。まずプリドライバー2SC2166は切り離してテスターで当たった結果異常なし。MRF422とMRF486は簡単に切り離せないので良否確認ができないがどちらかが破損している可能性が大きい。現在の状況はここまでであるが、最大出力での過酷な使用状況から考えると終段のMRF422破損と考えて良いだろう。モトローラの電力トランジスタMRF422はネットで調べてもどこも在庫ゼロで入手不可能な状況だった。もしあったとしても価格は暴騰していてペアで5万円はするだろうから手が出ない。長年愛用してきた機械だが修復は断念するしかなさそうだ。