世界で最も隔絶した孤島ブーベ(2)2023年02月13日

南極大陸に近い南大西洋の幻と言われた孤島ブーベ島(Bouvet Is.)に挑んだアマチュア達について4年前このブログ(2019年3月24日付)に少し書いた。1989年の遠征隊3Y5Xは上陸に成功し延べ5万局との交信を成し遂げた。その30年後、2019年の遠征隊3Y0Iは嵐のため上陸を断念し計画中止して帰還した。2020年になるとノルウエーのハムを中心とした3Y0Jのエクスペディション計画が開始された。目標は2023年1月上陸で世界と20万の交信を目指すものだった。計画は進み、2023年1月に極地探検用の帆船でフォークランドを出発し、1月31日にブーベに到着。その後、強風で荒れる海から数人で上陸に成功して2月上旬より無線運用を開始した。大がかりな設備の搬入は困難なため無線運用は本田の発電機と100Wの送信機と簡素なワイヤーアンテナという最小の設備で行われた。
小規模な設備のため日本で受信するのも難しかったが、それでも10MHz、18MHz、21MHzバンドなどで微かな電信の信号を捉えることができた。呼ぶ局数が非常に多いため長い間こちらから呼ぶチャンスを待っていたが、2月9日の深夜、18.072MHzの電信で良く入感しており、呼ぶ局も少なくなってきたところを暫く呼んでやっと応答してもらうことができた。その後は交信できる機会もないまま日が過ぎたが、本格的な設備が搬入されるまでの我慢と考えていた。しかし今日2月13日になって本格設備の搬入が困難であるため明日には中止撤退という発表がされた。結局交信数は目標を大きく未達の1万1千程度(交信数はCW/SSBのみでFT8を含んでいない)で終了することとなった。
そんなわけで今回のブーベは自分にとって1交信のみという結末になった。世界のアマチュア無線の冒険家も高齢化しており、このような過酷な遠征は益々困難になっているが、今回それでも上陸出来て1万局以上の交信を達成できた事は賞賛すべきなのだろう。

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