環境汚染の記憶2019年03月07日

子供のころの記憶で曖昧になってしまったが、もう60年近く前になる1961年頃、市内の河川の魚がある日突然大量に浮き上がり、白い腹を見せて死骸が累々と続いて流域が白くなるほどだった。
この川は、沢山の魚や水生生物が生息して子供から大人まで釣りを楽しむような良い川だった。それがたった一日で死の川になってしまった。それ以降、この川には何十年も全く魚が棲まず、ようやく近年鯉などの汚染に強い魚が見られるようになってきた。
この生態系の突然死は流域の上にある工場からもたらされた。恐らく廃液の処理設備が故障して大量のシアン化合物が川に流出したのだろう。この工場の下流数キロm以上に渡って殆どの魚が死滅したのだから想像できないくらい大量のシアンが流出したのだろう。当時は高度成長時代の始まり頃であり、環境汚染問題よりも産業の発展が優先されていたのか、この事件は新聞等でも特に問題となることはなかったようだ。
今だったら大きな事件として記録に残っただろうが、残念ながら当時の記録はどこにも見つけられない。(写真は廃液流出点から4kmくらい下流の現在の川)