10月の太陽活動状況2024年10月07日

10月の太陽活動は非常に活発で、10月1日22時UTC頃にX7.1のフレアが発生。
次いで10月3日12時UTC頃には近年最大級のX9.0フレアが発生した。
太陽のフレア爆発で磁化したプラズマが太陽から宇宙空間へ噴出する現象が起こり、これをコロナ質量放出 Coronal Mass Ejection(CME)という。CMEで放出される粒子は質量があるので電磁波の到達速度よりも大幅に遅く、惑星間磁場に沿って2日から5日程度で地球へ到達し、地球磁場を乱して磁気嵐を発生させる。
3日のX9.0という大規模なフレアで、数日後には猛烈な磁気嵐が発生して国内でもオーロラが見られるかと期待もされた。しかしフレア爆発から4日近く経過した現在、磁場の乱れは始まったものの予想より大分控えめなK指数4~5(K指数は磁場の3時間毎の乱れを表す指数で4~5は地磁気がやや乱れている~乱れている)に収まっている。
今回はフレアの規模の割に地球磁場への影響は少なそうだ。その特異性については今後研究機関からの発表を待ちたい。この結果北海道辺りでのオーロラは期待できないが、電波伝播への影響も少なく良い伝播状態が継続していた。

一方、太陽活動サイクル25の黒点数移動平均値は順調に上昇を続けて、今年の10月頃が最高の165程度と予想されている。今年の4月本ブログで2023年6月以降徐々に減少に向かっていてその後再び上昇する双峰特性になる可能性があると書いた。実際は23年10月頃まで僅か下降傾向の後再び上昇に転じており、双峰特性よりもむしろ単峰特性に近いかもしれない。これは太陽の北半球を流動するダイナモ構造と南半球を流動するダイナモ構造の活動位相差が少ないために互いに強め合い、黒点数ピーク値を押し上げているように見える。この黒点数の上昇傾向も今年10月頃で頭打ちになってその後下降に向かう可能性が高いが移動平均値なので半年経ってみないと確定しない。
サイクル25は上図#1に示すように近年最低のサイクル24の120を上回ってサイクル23の180には及ばないものの160以上の移動平均値が予測される比較的良好な活動サイクルに確定しそうである。しかし電波伝播の点では本サイクルは地磁気の乱れやデリンジャー現象の頻度が高く、黒点数の割に期待外れなところのある伝播状態という見方も出来そうだ。

#1: Solar Terrestrial Activity Report , oct2024

高齢者の運転免許更新2024年08月27日

75歳になると後期高齢者で運転免許更新のハードルも格段に上がる。
今年6月に認知機能の検査、7月に運転実技講習と各種視認性確認、そして8月にやっと免許更新手続。合計3段階のチェックを経て昨日ようやく免許を発行してもらえた。
高齢者の事故が多くなったため、免許更新を諦めるように更新の障壁を厳重にしているというのが本音だろう。
実際、今回のような面倒さを考えると次回はもうやめようと言う気にもなる。
しかし認知症検査や運転実技講習が高齢者の事故抑制にどれほど貢献するかは疑問だ。
高齢者の重大事故の殆どはアクセルとブレーキの踏み間違いか逆走によるもの。
逆走に関しては認知機能との相関は高そうだが、アクセルとブレーキの踏み間違いはAT車が持つ根本的な危険性に由来する。その意味ではMT車よりも安全運転が難しいのがAT車だ。表面的な取り扱いの楽さで世の中はあっという間にAT車が席捲してMT車は購入も難しくなった。言わば安全性を犠牲にして便利さだけを取ったのがAT車。行政が自動車産業優先思想のために欠陥とも言えるAT車を広めてしまった結果が今の状態である。
AT車の操作のできない未熟な老人のために高齢者全体が運転免許更新困難化させられている。
高齢者の免許更新ハードルを上げることで運転者数を抑制するよりも、高齢者はMT車限定にしたほうが余程重大事故抑制になる。世の中は楽へ楽へと1方向への変化しかできないから今更MTには戻せないだろうが、MT車ならペダルの踏み間違い事故は本質的に起こり得ないだろう。(理由は2019年4月21日に当ブログに書いた)
技術の進化は時としてこのように重大な副作用を持ったシステムを生んでしまう。
軽自動車に多く採用されたアイドルストップ機能も馬鹿な技術の一つだ。頻繁にエンジンを切ることでアイドル運転時間を減らして燃費性能を上げるのは良いが、それ以上にバッテリーやスターターモータを酷使するし走行のスムーズさも相当犠牲になる。自分も一時期軽自動車にしようと思ったことがあるが、この無駄なアイドルストップ機能が嫌で選択肢が無かった。僅かな燃費向上のために部品コストを上げてトータルで多くの損失を生むのがこの機能だ。
だがこの機能の馬鹿々々しさにやっと気づいてアイドルストップ機能を省いた車も登場しつつあるようだ。
そういえばスタータ無しでエンジンを同期燃焼技術により再起動させる技術テーマも研究されていたと思うがあれは今どうなっているのだろう?
法令による規制がなされると、それを達成するだけのために総合的な無駄やネガティブな面には目もくれず目的達成のために強引な方法で突っ走るのが産業の持つ宿命とも言えるが、規制を利用した差別化や利益のために敢えてそうやって変更をしているふしもある。

陰謀論2024年07月20日

最近ある人から日航機123便の墜落事故原因について話が挙がった。随分古い話を持ち出すと思ったら、真相は森永卓郎によればこれまで報告されていることと違うという話。この事故については後部圧力隔壁の修理ミスによる金属疲労破断が原因で決着した筈であり、運輸省航空事故調査委員会の報告書「日航機事故報告書」及びその付録である試験研究結果で詳細が検討されている。その内容は読んでみた限り客観的論理的に検証がなされ、懐疑的な見方を差し挟む余地の少ないものに思える。航空機事故は多くの尊い人命を失う取り返しのつかない問題である。だから同じ原因による事故を再発させないよう徹底的な原因究明が必須となる。この事故から得られた知見に基づき、修理確認プロセスの見直しや隔壁が破断しても流出空気流が垂直尾翼や油圧系統を破壊しないようなフェイルセーフ設計、隔壁強化などの対策がなされた。
しかし一方、青山透子とかいう人の書いた当該事故に関する奇妙な陰謀論も出回っている。
先日本屋で森永卓郎の「書いてはいけない」という本がベストセラーで陳列されているのを見つけて、これかと思って少し立ち読みしてみたが買う価値は無いと判断した。
この本の中の日航機事故についての内容は森永卓郎の独自見解ではなく、青山透子という人の書いた本をそのまま受け売りしているだけのようだった。ネットで読者の書評を見ると随分多くの人がこの内容を信じているようなのには驚いた。裏付けの無い突飛な陰謀論だが、読んだ人が簡単に信じてしまうことにカルト宗教のような危うさを覚えた。森永卓郎は航空機事故に関し何の知見も無い素人ゆえ簡単にこのようなトンデモ話を信じてしまったのだろう。非専門家であっても知名度だけは高いから陰謀論の広告塔になってしまう。
人はなぜ荒唐無稽な陰謀論を信じてしまうのか?
事実やデータや試験解析を積み上げて原因究明した結果よりも、裏付けのない憶測や空想で組み立てた根拠薄弱な話の方が意外性があって飛びつきやすいのだろうか?

陰謀論には信憑性の高い証拠や根拠が提示されておらず話に飛躍があるという特徴がある。従ってあくまでも懐疑的批判的に捉える精神を普段から養っておくことで、このような書物に出会っても耐性を保持できる筈である。

エアコンの温度2024年07月10日

暑くなってくると熱中症の恐れがあるのでエアコンを28℃に設定しましょうという呼びかけを良く聞く。しかし年寄り達は中々エアコンを使おうとせず熱中症が頻発することになる。これには2つの原因が考えられる。一つ目は年寄りにとって28℃は冷えすぎの事が多く必ずしも快適ではないこと。もう一つは冷えすぎる設定はエアコンの電気料金が跳ね上がること。一般的には28℃という温度設定は冷やしすぎではなくむしろエコに近い設定温度と考えられている。それなのに年寄りがなぜ冷えすぎで不快と感じることが多いのか?を考えてみたい。
エアコンは通常設定温度に近づけるようにコンプレッサーの能力をインバータ制御し、同時に室内機のファン速度等も制御して早く目的温度に到達するよう自動制御を行う(通常の自動設定の場合)。目的温度に達するとその温度を維持するように冷房能力を下げて運転を継続する。設定温度は室内機の吹き出し空気温度ではなく、室内の平均温度である。この温度の捉え方はエアコンにより異なるだろうが、家にある古いエアコンで測ってみると室内機の吸い込み側の空気温を検知しているように思える。従ってエアコンから吹き出す風を受けている場合、室内温を下げるような動作中(プルダウン状態)の冷風温度は低めで強い風量傾向であり、一旦目的温度に達すると冷風温度はほぼ設定温度に近い温度で安定し、風量も最小になる。つまりエアコンはプルダウン領域では最大能力で運転され、到達温度領域に入ると容量制御運転に変わる。だから同じ28℃設定でも体感上はエアコンがどの動作点にあるかで大きく違いが出る。プルダウン動作中は寒過ぎるように感じるし、安定域ではやや冷えが甘いと感じるかもしれない。また外気温が高い場合ほどエアコンは能力を上げて動作するので吹き出し温は下がり、肌を刺すような痛みさえ覚えることになる。
エアコンを自動に設定するのは効率も最適化できるので良いのだが問題はその設定温度。馬鹿の一つ覚えの28℃ではなく、もっと設定温度を上げること。例えば30℃くらいに設定しておいたほうがプルダウン時間も短くなって冷え過ぎ感もなく安定温度に早く到達する。30℃の安定温度だとやや暑く感じる恐れもあるが、年寄りの代謝エネルギーは低くて多少高めのほうが快適である。補助として扇風機を併用すれば30℃でも十分な冷房感が得られる。体感への調整は扇風機の風量で行い、エアコンは最小の能力で使う。これにより冷えすぎの不快感も無く、電気代も節約ができて熱中症も防ぐことができるだろう。
(但し快適性は温度だけでなく湿度が重要なファクタとなる)

認知機能検査を受ける2024年06月04日

75歳の運転免許更新までまだ間があると思っていたが、認知機能の検査をやるよという案内が届いた。最近は物忘れが酷くなっているので不安になり、ネットを検索すると模擬試験のできる動画が幾つかあった。問題は2問で、第一問は16枚のイラストを見せられた後、何の絵があったかを書く「手がかり再生」問題。第二問は年月日・曜日・時間を書く「時間の見当識」問題。第一問が重要で配点が80点。第二問は20点。
第一問は絵と同時にヒントが与えられる。ヒント無しで正解はイラスト1枚当たり5点。ヒント付きのみ正解の場合は半分の2.5点が与えられる。
動画で模擬試験が見られるので試してみたら16枚のうち覚えていたのがたったの4~5枚。
気づいてはいたが予想以上に記憶力が低下しているのに驚いた。元々丸暗記は苦手中の苦手で、理解しないとテストはまるで出来ない性質だったが最近は数秒前に考えたことも忘れて苦労することが多くなっている。今更ながらイラストが覚えられないという事実に直面して愕然とした。本当に認知症になってしまったのだろうか。運転免許を継続更新できるかどうかという事より、認知症という事実が重くのしかかり、もしこの検査で不合格だった場合もう生きる意欲を失うのではないかという恐怖感さえ覚えた。最早自分にとってこれは単なる免許更新の問題ではなく、人生の問題となる。そこでいったんは絶望したが、とにかく問題のイラストを覚えることにした。16枚のイラスト問題は4パターンあり、全部で64枚ある。これらは変更されない。しかしこれを仮に全部覚えたとしても各パターン間で混在してしまえば何の意味も無くなる。16枚を4通り独立して記憶するのは自分にはとても無理だろうとその半分だけ意味づけしやすいものを選び、8x4通りのマトリクスで覚える努力をしてみた。この程度だと何とか記憶できそうだったが、それでもパターンが混じるのが困った。数日で何とか8x4=32のイラストを覚えられたがこれはメリットがあった。短時間で16枚を見せられても8枚は既に記憶できているので瞬間的に覚えるのは残り8枚で済むから、この程度なら自分の弱った動的メモリーにも入れられる。従って32枚を覚えれば64枚を覚えたのと同等である。
実際には36点以上取ればよいので、簡単な第2問で満点の20点は取れる筈だから第一問は4枚以上のイラストを正解するだけでよい事になる。しかし今やこれは自己の認知症疑惑との闘いなのでなるべく高い正答率で自信を持ちたいところだ。
本番は6月3日警察署で実施された。20名ほどが受け、試験はイラストのパネルを提示して説明後、ボールペンで用紙に書くという要領で行われた。緊張して精神集中したせいか提示されたイラストは全て頭に入り、全問書くことができた。採点結果は後日郵送ということだが特に心配はなさそうだ。心配だった記憶力に少しだけ自信を取り戻せた気がする。
しかし、このような記憶テストと運転能力がどれほど相関があるのだろうか?単に高齢者の事故が多いので高齢者が苦手な記憶力テストで免許更新を阻もうというのが本音ではないだろうか?今後は高齢者の事故原因の本質を解明して免許判定に結び付けて欲しい。

アンテナローテータの交換工事2024年04月24日

昨年8月にアンテナのローテーター江本1200FXが回らなくなった。電圧や抵抗値をチェックした結果異常はなく、ローテータ本体の機械的故障と推定された。FTIに連絡を取ったが発電関係の仕事で忙しいらしくアマチュアのアンテナ工事は対応できないようだった。自分で何とか交換できないか机上検討してみたがアンテナとマストの総重量を持ち上げるような手段がなく無理と結論。昔は自分でローテータ交換したものだが今の自分の歳ではもう不可能に近いと諦めていた。
その後、JH1OCCからFTIがアマチュア対応を再開したと聞いたので早速工事を再依頼した結果引き受けてもらえた。故障したローテータ1200FXは現存製品では1200SAというタイプに変わっていたが本体は同一でコントローラのみが異なるとのこと。結局本日4月24日午前中栃木での別の工事の後、午後に3名で来てくれた。あいにく雨の悪コンディションの中ながら頑張ってくれて、およそ1時間程度でローテータを新品の1200SAに交換完了。無事にアンテナをまた回せるようになった。コントローラはこれまで使用していたものがそのまま使えたので新しい方は予備として保管。
ローテータは長年強風による繰り返しトルクを受けて内部の歯車が摩耗故障して齧り、ロックしたようだ。大昔のローテータの良い物は鍛造の焼き入れ一体歯車を使っていて非常に頑強だったが、今はコスト低減でプレスした歯車を重ね合わせて使っているものが多いようで寿命はかなり低下しているのが残念だ。対策としては、やはり強風時は風の吹く正面方向にアンテナを向けるようにして風によるトルクを最小化するように使うくらいのことしか無さそうだ。

太陽活動状況2024年04月12日

太陽活動サイクル25の黒点数移動平均値は2023年6月に極大値125に達した後徐々に減少しつつあり、24年4月の予測移動平均値は115である。太陽内部の対流層のプラズマ流は太陽の北半球と南半球で夫々独立した流れを生じているが、両者の位相はここ数サイクルでずれが生じており、黒点数のピークは双峰特性になっている。このため今サイクルでももう一度上昇に転じて2回目のピークが現れる可能性はあるが、まだ予測は不能である。
サイクル24の黒点数移動平均ピークは約118だから今サイクルの方が活動度は上がっている。しかしその前のサイクル23、22,21は夫々約180、210,230と大幅に高かった。この約50年間の太陽活動の連続的な低下はサイクル24を極小として収まりそうに見えるが、サイクル25も僅か上昇しているだけで極小状態から抜け出せたと言える確証はない。この低迷状態が更に続けば温暖化ガスによる温室効果よりも太陽活動低下による寒冷化が上回る可能性もある。気温は年々上昇しているので勘違いする人も多いだろうが、これは温暖化よりも、都市化によって排熱が増加したり地表の土や緑減少により気温が上昇している割合が多いと見るべきだろう。
短波帯の遠距離通信は太陽黒点サイクルによって左右され、このところ比較的良い伝播状況に恵まれてきた。今後も暫くは良い伝播状況が続く見込みなので高齢者の無線家は最後のチャンスと考えてサイクル25の残りを味わう必要がある。

謎の現象2024年04月01日

IC721とIC7300の両方を一つのPCでFT8が運用できるように設定しているが、不可解な問題が生じた。IC721をSSBで送信すると信号が非常に歪んだ音になるのだ。
IC721のFT8はアナログの自作インターフェースであり、受信音出力と変調音入力とをPCのアナログオーディオ入出力端子に接続している。一方IC7300はUSBケーブルでPCとスマートに接続してUSB Audio Codecにより処理をするだけである。当初どちらからも使えるようにしていたのだが、FT8用の接続のままSSBモードで送信音声のモニターをしてみるとIC721の変調信号が歪んでいる。
このとき、IC7300にはDC13.8Vを通電していたが本体の電源スイッチはオフなのでIC7300側の影響はない筈と考えていた。だが試しにUSBケーブルを抜いてみたら歪は消えて綺麗な送信音に戻った。このことから電源スイッチオフでもIC7300の一部の回路には通電していてUSB回路から何らかのノイズが出ており、それがPCに回り込んでいると考えられた。フェライトコアにUSBケーブルを数回巻いてコモンモードノイズ防止をしてみたが全く効果なし。なので高周波の回り込みではなく、USB回路からのノーマルノイズによるものと思われた。
次にIC721のFT8インターフェースの変調入力を切り離してみても歪は発生しなくなった。このことからノイズはIC721のFT8アナログインターフェースを経由してIC721の変調入力回路に加わり、SSBの音声信号と重畳してSSB音を歪ませることがわかった。
結局、トラブルの元は2台のトランシーバを一つのPCで共用しようとした点にあった。しかもIC7300にはDC13.8Vが常時加わっていて本体の電源スイッチを切っても一部の回路が作動状態にあることを見落としていた。またUSBのデジタル系とPCオーディオのアナログ系の回路は互いに完全独立ではなく信号の流出/流入が生じていることが問題をややこしくしたようだ。
対策としてはIC7300→USBケーブル→PC→IC721用FT8アナログインターフェース→IC721の変調入力回路 のどこかを完全遮断することで解決する。
今回は妙な共用回路を形成すると厄介なトラブルに見舞われるという教訓が得られた。
このような変なことをする人はほかに居ないだろうから今回の経験はあまり役に立たない話かもしれないが。

無線LANが速度低下する問題2024年03月12日

PCが新しくなったが回線を接続している無線LANルーターが古く、あまり速度が出なかった。そこで光回線を導入したときにプロバイダーが送ってきたNECのWG1200HP4という無線ルーターを使ってみることにした。1年近く未開封で使わないままのものだったが、接続してみると古い2.4GHzのルーターと同条件設定でも約2倍以上の200Mbps程度の速度が出た。5GHzバンドにすると更に速いので満足した。
しかし暫く使ううちに速度が低下している気がしたのでネット速度の測定サイトでデータを取り続けてみた。するとルーターの電源オン後1日~2日くらいで速度が突然最初の4分の一くらいに低下することが判明。これは古い方の無線ルーターでは同じ使用条件でも起こらない問題だった。最初は回線の混み具合や周囲の無線LAN同士の干渉かと考えて、時間帯での変動把握や周波数の変更や設置条件変更などを色々試みたが速度低下との直接的関連性は見出せなかった。この現象は2.4GHz帯でも5GHz帯でも同様に発生するし、WG1200HP4をルーターモードにしてもアクセスポイントモードにしても発生する。
接続をIPv4pppoeからIPv4overIPv6に切り替えても変化がない。このため、原因はルーターより上流側ではなく、無線機能にあると考えられた。そこでPC側のネットワーク接続状態を開いてみると無線LANとPCの間のリンク速度は2.4GHz接続の場合は300Mbpsに、
5GHz接続の場合は866Mbpsで常に安定したリンク速度を保っており、データ速度低下とは関係ないことが判った。これらのことから原因は無線LAN自身にあると推定されたので設定を色々変えてみたが特に効果は得られなかった。多分WG1200HP4の欠陥だろうと、使用を諦めようかと思ったが、最後に古い無線ルータとWG1200HP4とで設定上異なるものがあるのに気が付いた。それはセキュリティ規格で、古い無線ルーターではWPA2までだが、WG1200HP4では新しいWPA3という暗号化方式までサポートしている。安全度はWPA2よりもWPA3が遥かに高いので当然これを設定していた。これに付随してPMF(Protected Management Frame)という無線LAN通信の管理フレームを暗号化して秘匿性を上げる機能があり、WPA3ではこれがデフォルトでONになっている。しかしWPA2ではPMFのon/offが選択できる。問題のなかった古い無線ルーターではPMFの機能さえ無かったのでWG1200HP4の設定もセキュリティをWPA2に下げると同時にPMFもオフにしてみた。以降しばらくこの設定状態で観察しているが速度低下の現象は起こらなくなり、問題は解決したと判断して良さそうだ。
対策のアプローチがあまり解析的でなく、トライアンドエラーで解決できたのは忸怩たる思いもあるが、設定プログラムのように中身が自分にとってブラックボックスなものの場合はこの種のアプローチしかなさそうだ。できれば無線LANのセキュリティ方式の基礎部分まで学んで理解して原因に迫りたいところだが自分の歳と能力ではもう難しいだろう。

USBマウスの修理2024年01月23日

11年間使ったノートPCがついに壊れた。元々win8からwin10に更新して使っていたので初期化してもwin8に戻っただけ。現在win10は無料ダウンロード期間が終了のため元に戻すのは難しい。
このため仕方なくwin11の新PCに替えた。処理速度は素晴らしく速くなり満足だが最近の機種はタッチパッドの仕様が変わって非常に使いにくい。仕方なく、昔使っていたUSBマウスを引っ張り出してきた。しかし古いせいかマウスの左クリックの応答性が悪い。PCのほうは最新型なので問題ないとすれば考えられるのはマウス自体の故障。
このマウスは30年近く前に購入したエレコムの初期の光学式マウスで長くしまい込んであったもの。分解してみると画像のように上部に左右のクリックボタンに対応したマイクロスイッチが2個対称配置されている。クリックボタンを押すとマイクロスイッチ接点が押されるようになっている。マウスの左クリック頻度は非常に高いので恐らくこのマイクロスイッチの接点が劣化したのではないかと推測された。そこで以前扇風機のスイッチを修理したのと同じ手法で対応してみた。使用頻度の多いスイッチを同型の使用頻度の少ない側と入れ替えれば交換パーツがなくとも対応できる可能性が高い。半田ごてでスイッチを外すのが面倒だったが何とか外して左右のスイッチを入れ替えられた。早速組立直してテストしてみたが、クリックに完全に対応してくれるようになった。右ボタン側に劣化したマイクロスイッチを移したので右クリック機能がどうなるか気になるが、右クリックというのは頻度が少なく応答性もそれほど厳しい要求はないので特に問題はなさそうだ。
色々な物を長く使い続けているため、摩耗故障段階の故障が増えてきた。壊れたものは捨てて新しい物に替えるのはいいが、金はかかるし廃棄物も増える。ちょっと面倒だが工夫してささやかな手を加えることで復活できることも多い。修理のプロセスもそれなりに楽しめる。