帯域幅可変フィルタの着想2022年03月22日

昔アマチュア無線に夢中だった高校生の頃(1966年頃)、SSB(SingleSideBand:単側波帯)の通信方式に非常な興味を持っていた。当時アマチュア無線でもSSB方式による通信はまだそれほど多くなく、アマチュアにとって格好の技術課題だった。学校でも授業など聞かず回路のことばかり考えていた。ある時ヘテロダイン方式の周波数変換回路を色々考えていて帯域幅を可変にする方法を思いついた。第1中間周波数f1の第1フィルタの後に周波数変換回路を設けて局部発振周波数f2を混合してf1-f2の第2中間周波数を得る。この第2中間周波数を第2フィルタに通すことで第1フィルタと第2フィルタの合成フィルタが実現できる。この時、局部発振周波数f2を可変にしてやることで第1フィルタと第2フィルタの通過帯域をずらすことが可能となり、帯域幅を任意に変化可能となる。具体的には例えば第1中間周波数2MHzで帯域幅3kHzの第1フィルタと第2中間周波数455kHzで帯域幅3kHzの第2フィルタを組み合わせる。この時、局部発振周波数f2を1545kHzにすれば2つのフィルタで合成された帯域幅3kHzの2段フィルタとなる。そして局部発振周波数f2を2.5kHzほどずらせて1547.5kHzにしてやれば帯域幅は0.5kHzに縮小できる。つまりf2を1545~1547.5kHzの間で可変にすれば帯域幅を3kHzから0.5kHzの間で連続的に任意の帯域幅にすることが可能となる。当時読んでいた無線技術誌や専門書やメーカー製品の中ではそのような回路は見つけられなかったので十分独自性があるだろうと悦に入っていた。特許出願をしてみたいと思ったが当時はその方法もわからずメモに書いたまま埋もれた。
その10年位後に同様な方式を搭載する2段フィルタのSSBトランシーバのメーカー製品を見るようになった。果たして自分の考えた2段フィルタ方式の方が技術的に早かったのかどうかは判らない。電子回路は基本コンセプトとしては製品化よりずっと前に存在する可能性が高いし、以上述べたような可変フィルタは回路を考えていけば誰でも着想できる可能性がある。しかし其の頃はもしかしたら自分の着想のほうが早かったのではないかという思いに囚われた。その当時特許出願していれば先行技術にどんなものがあったのかが明確に分かり、得心することが可能だったろう。
結果に関わらず自分の気持ちが納得できるような客観的判定がされることはその人の人生にとっても有益であろうと思われる。

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