アンテナの積み重ねの影響2019年09月08日

現在使っているHF用アンテナはSteppIRという14MHz~50MHzまでの八木アンテナ。エレメントはモータで長さ調整できるので6バンドを一つのアンテナで済み、各バンドが3素子のフルサイズ八木アンテナとして動作する。この方式の最大の強みはアンテナ1本で済むという点から多数のアンテナを重ねて使う方式のようなお互いの干渉による性能劣化がない点にある。しかし弱点は機械的に複雑であり、故障しやすく寿命も短めなところだ。このアンテナが壊れたら次は壊れにくい単純なアンテナにしようと思うのだが、周波数は色々なバンドに出たい。そのためには複数のアンテナを重ねて使うしかなく、相互干渉の問題が生ずる。これがどのくらい問題となるのかは判断が難しい。そこでアンテナシミュレーション計算をしてみた。使いたいアンテナはCreative Designの214Aという14 MHz/21MHzの2バンド八木と248Aという18MHz/24MHzの2バンド八木。この2つを3.5mの間隔で重ねた場合の性能劣化を試算してみた。計算に使ったアンテナモデルは自分で作成したので実物との誤差はある程度許容し、あくまでも相対比較として絶対誤差は重視していない。ソフトはMMANAを使い、自由空間でシミュレーションしてみると次のようになった。

アンテナ/周波数MHz/利得dBd / FB比dB/ 垂直面放射角deg
214A 単体/ 14.15/ 4.71/ 26.21/ 0
214A 単体/ 21.2 / 6.43/ 12.13 / 0

248A単体/ 18.12 /4.64/ 24.88/ 0
248A単体/ 24.94/ 6.06/ 16.61/ 0

214A+248A / 14.15/ 4.54/ 22.91/ 0
214A+248A / 21.2/ 6.43/ 12.89/ 2
214A+248A / 18.12/ 4.52/ 26.35/ 8
214A+248A / 24.94/ 5.45/ 18.14/ 0

以上は計算結果の一部の例であるが、積み重ねは単体よりもやはり性能劣化が生ずる。影響は、大きい方のアンテナは少なく、小さい方はやや影響大。24MHzでの利得低下が一番大きく、他のバンドは殆ど利得低下を起こしていない。放射角度は18MHzが影響大である。このため実際の地上の影響を受けた場合の打ち上げ角度がどうなるのかを更に計算したが、打ち上げ角度は18MHzで1度くらい悪化するだけで殆ど無視できる結果だった。今回試算した結果は、HFハイバンドでアンテナを積み重ねてもお互いの間隔を3.5m程度確保すれば一番高い周波数で若干性能が落ちる以外はほぼ問題ないものだった。アンテナを計画する時にシミュレーションを使えば設置条件の影響を事前に推定できるので有用と言える。

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