門扉が開かない2020年12月31日

私の家の門扉は取っ手を押すと開くようになっているが、今日いくら押しても開かなくなって大いに困った。鍵が掛かってしまったのかと思って鍵を入れてみたが鍵は開いていた。そこで取手部分の機構が壊れたのかと思い、よせばいいのに取手機構を苦労して外し、分解してみた。取手には扉をロックする爪が付いていて、鍵を掛けてなければ取手を押すと爪が引っ込んで扉のロックが外れる機構になっている。分解しても特におかしいところはないので組み直し、再度取り付けてみた。すると扉は押せば開くようになった。特に何もしていないのに直ったのが気持ち悪かったが直ったのならいいやと判断。しかしその後観察していると強めの風が吹いただけで扉が開いてしまう。再び機構部を分解し、今度は構造をよく調べてみた。するとロック構造は思ったより巧妙にできていて機構学の見本のようだ。鍵を掛けて爪を動かなくする機構の他に、普段は爪を動かなくするストッパが別にあり、これによって扉が押されても開かない構造になっていることがわかった。そのストッパは取手を少し押すとその力でストッパが外れるようになっている。最初に分解組付けしたときにそのストッパを押しているコイルスプリングが外れてしまったためストッパは常にロックされず、扉が押されただけでいつでも開いてしまう状態になってしまったと判明。何のことはない、分解により壊してしまっただけだった。しかしそうすると最初に分解し再取り付けしたことで何故扉が開くようになったのかという疑問が生じた。そこで爪の動作を観察すると爪はストッパが外れた状態で扉を押すと全体が倒れるように回転して爪を引っ込めるようになっている。爪の回転軸から扉を押す力Fの作用点までの距離をRとした場合の爪を回転させるトルクはFxRで表される。一方爪が引っ込まないようにばねが設けられており、このばねによる反対トルクをTとした場合、FxR>Tにならないと爪は回転せず扉を開くことができない。扉の取り付け状態を観察するとクリアランスが小さく、Rも小さくなっていることが判った。このためFxRが小さくて爪の保持トルクに抗しきれず爪が引っ込んでくれない状況と判明。取手機構にはもともと問題はなく、それを確認もせず分解して壊してしまったことになる。真の原因は単に扉のクリアランスが変形などにより小さくなっていたためロック爪を引っ込めるためのトルクが不足したことによるものだった。余計なマッチポンプで半日費やし、真の原因の対策は10分ほどで済んだ大晦日だった。
但し扉のクリアランスが小さいと開かないという爪ロック構造の設計はやや問題があると言える。この問題を起こさない製品設計としては扉のクリアランスをCとするときRーCが十分大きいように爪の回転軸位置を決めることでCのばらつきに対する感度を下げることだろう。

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