読書 ロウソクの科学(ファラデー)2019年04月12日

すべて地球上に生存している草木は、われわれが空気中へ吐き出した炭酸ガスをその葉から吸い取ります。そうして成長し繁茂するのです。われわれが必要とするようなきれいな空気を植物に与えてごらんなさい、しおれてしまうでしょう。炭酸ガスを与えてごらんなさい、そうすれば無事に育つでしょう。この木片が炭素を含んでいるのはあらゆる植物と同様に、大気のおかげです。すなわちわれわれには有害な炭酸ガスをそれの必要な場所へ大気が運んでいってくれるからです。或るものには毒になるものが他のものでは必要なのです。それですからわれわれ人類はただ隣人のおかげをこうむっているばかりでなく、われわれと共にこの地球上に生きているあらゆる被造物のおかげをこうむっているのです。自然界のあらゆるものは、自然の一部分をして他の部分のために役立たせるような法則によって互に結び付けられております。(中略)
燃焼と呼吸とはすこぶるよく一致していることがおわかりでしょう。そこで私はこの講義の最後の言葉として、諸君の生命が長くロウソクのように続いて同胞のために明るい光輝となり、諸君のあらゆる行動はロウソクのような美しさを呈し、諸君は人類の福祉のための義務の遂行に全生命をさげられんことを希望する次第であります。(岩波文庫 ロウソクの科学より最終章抜粋)

ロウソクの科学はファラデーが晩年に少年少女のために行ったクリスマス講義の記録である。ファラデーは貧しい家の子として生まれ、小さいときから製本屋で働いていた。製本の作業だけでは満足できずそのうち中を読んでみるようになった。そうして科学に興味を持ち、今度は読むだけでは満足できず自分で実験するようになった。そして街で行われている科学者の講義にも出席するようになる。その後研究所の助手になることができ、電磁誘導の法則をはじめとする数々の発見を成し遂げた。その研究所が少年少女のためにわかりやすい講義を行っており、クリスマス講義もその一つであった。

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